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近畿整備局ら/災害復旧相互支援機構を検討/基金、人材で復旧迅速化
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【来年度の設立を目指す】
災害復旧の迅速化を図るため、近畿の各市町村が主体となって基金の積み立てや人材の派遣を実施する「市町村災害復旧相互支援機構(仮称)」の設立が検討されている。井上智夫近畿地方整備局長の着想によるもので、現在は同局と市町村でルールづくりなどを協議している。予算編成に間に合わせるため、今秋までに調整を終え、21年度の設立を目指す。
近年は災害が頻発しているが発災時は住民対応やインフラの復旧などに追われる市町村職員の負担が大きく、小規模な市町村ほど技術系職員と復旧工事に対するノウハウが不足している。既に全国の村の51%では技術系職員が1人もいない状況だ。
井上局長は同局河川部長、企画部長時代からの管内市町村長との意見交換を通じて、「国による財政支援があっても人手が足りず、災害復旧に時間がかかってしまう」現状を把握。さらに被災状況の調査と激甚災害指定後の財政支援を行うTEC―FORCE(緊急災害対策派遣隊)と整備局に対して査定申請の支援を求める声があることを知った。
ただ、査定審査を担当する整備局として審査の支援はできないため、局としては市町村に技術系職員の採用を促すことしかできず、同局や府県の技術系職員のOBに支援を求めるアイデアが浮上した。同時に複数の市町村長からも組織づくりの要望が寄せられたことから実現に向けて動き出し20年1月に機構設立の構想を市町村に説明している。
同機構では、参画する各市町村の積立金による「相互支援基金」と、災害復旧工事に対するノウハウを持つ人材で構成する「発注・監理支援人材バンク」を設ける。
相互支援基金は毎年の会費を積み立てることにより、被災時にその積立金から小規模な設計費用などを捻出し、早期に調査・設計に着手することを目的とする。
人材バンクは不足する技術系職員を支援するため、災害査定官の経験を持つ近畿整備局OBや府県の技術系のOBなどで構成する。災害で被災した道路や河川施設を激甚化する災害に対応できるよう改善するには技術的難易度が高くなっており、職員だけでは事業が困難な場合、必要となる人材を斡旋する。
これらの趣旨に反対する自治体はなく、井上局長は「中核市や財政・人材を確保できている自治体などの参画は不明だが、大部分の自治体は関心を持っている」と語る。
今後、7月31日に市町村長向けのセミナーを開き10月までに職員向けの説明会なども実施する予定となっている。
設立の主体となる市町村間では積立金額や意思決定のあり方、ルールづくりなどの調整を進めており、できるだけ早く機構を設立して21年度以降の出水期に備える。
残り50%掲載日: 2020年7月16日 | presented by 建設通信新聞