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  • 鹿島ら/トンネル覆工コンクリを完全自動化/省人化で品質確保/2021年度の現場導入目指す

     鹿島は、岐阜工業(岐阜県瑞穂市、宗像国義社長)、シンテック(高知市、村田孝社長)と共同で、従来にない打設配管システムを開発し、トンネルの覆工コンクリート打設の完全な自動化に成功したと発表した。コンクリートポンプ車の圧送信号と配管の切替えをリンクさせることで、アジテータ車の入れ替え時以外は人の手をまったく介さずに、打上げ高さを自動で調整しながら、左右均等に全断面をコンクリート吹き上げ打設する。これにより省人化、省力化を図り、安定したコンクリート品質を確保するとともに、従来工法と同等のコストを実現した。2021年度の現場導入を目指す。

     

     システムは、▽締め固めが不要なトンネル覆工用高流動コンクリートの使用▽残コン(打設時に配管内に残るコンクリート)の減量と回収が容易な新しい打設配管システム▽左右の高速切替が可能な配管切替装置▽ポンプ車と連動し左右の打上げ高さを自動制御する打設制御システム--の4つで構成している。

     

     高流動コンクリートは粘性が高く、自由落下させると空気が混入し、打設後の覆工表面の気泡跡を増長する欠点がある。克服のためには、すべて打設口を吹き上げて圧入する方式(吹上方式)に変更する必要がある。一方、従来の吹上打設配管システムは、打設口ごとに配管が必要で切り替えの際に残コンが多量に発生する。このため、打設作業中の残コンの回収と配管清掃などの作業の発生、残コンの廃棄処分による環境負荷とコスト増が課題だった。

     

     これらを解決するため、各打設口を一筆書きで接続するまったく新しい打設配管システムを開発した。システムの最大の特長でもある回転式の吹上打設口は、打設時は吹上口が型枠表面からコンクリート内部へ突出しているが、打設を完了した際は回転して型枠表面と同じ位置で蓋が閉まると同時に、次の打設口への配管ルートを形成する。これにより、打設中の残コンの回収や配管清掃が不要となる。

     

     模擬トンネルでこれまで3回の打設試験を行い、システムの有効性と表面の仕上がり状況を確認した。制御システムに入力した計画どおりに完全自動で打設が進み、システムの有効性を確認した。現在、表面の仕上がりと入力パラメーターの因果関係を詳細分析しており、結果を踏まえて、美観も含めた自動打設方法の最適化を図る。

     

     模擬トンネルでの試験打設で完全自動打設を成功させ良好な結果を得たことから、制御システムの信頼性の向上と現場適用時に向けた耐久性の向上を図っていく。また今後は、TAF(ツインアーチフォーム)工法も自動化することで、セントルのセットから打設、養生に至るすべての工程を自動で行う統合システムの構築を目指す。

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    掲載日: 2020年7月16日 | presented by 建設通信新聞

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