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キャリアアップシステム財源問題/開発費の追加負担団体が妥協点模索/運営のモニタリング体制強化
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>建設キャリアアップシステムの財源問題で、建設業団体が頭を悩ますのは使用料金の引き上げ以上に、20億円に上る開発経費の追加負担だ。さらなる出捐を求めないとの条件の下、業界側が当初のシステム開発費(約10億円)を捻出したにもかかわらず、結果的に翻意されたことで、会員企業や傘下団体からどの程度理解が得られるかは不透明だからだ。建設技能者の処遇改善、担い手の確保・育成という同システムの目的は業界全体の共通認識となっているものの、今後のシステム運営などへの懸念が払拭(ふっしょく)されない中で、各団体は妥協点を模索する。
15日に都内で開かれた全国建設業協会の専務・事務局長会議では国土交通省、建設業振興基金の幹部が出席、システム運営上の責任を認めつつ、運営状況を悪化させた要因と課題への対応策を改めて説明した。
全建は開発費用の追加負担に「国費を投入すべき」と要望した。国交省は「民間主導のシステムであることから、引き続き受益者(利用者)負担をお願いしたい」と伝えるとともに、「追加の出捐金(20億円)については引き下げる方向で検討していく」ことを明かした。
また、「4-5年後にシステムは破綻(はたん)するのではないか」(全建)との指摘や、「当初のシステム開発費の負担時に『最初で最後の(団体)負担』と約束した中で、このような事態に陥っている。二度と業界側に負担を求めないことを約束してほしい」(同)との訴えに対しては、「意思決定体制の脆弱(ぜいじゃく)さが運営悪化の一因となっている。建設キャリアアップシステム運営協議会の運営委員会を3カ月に1回ペースで開き、システムの収支状況などをモニタリングする。適切なPDCA(計画・実行・評価・改善)につなげていく」と説明した。
全建は運営側の考え方と、31日に開く建設キャリアアップ運営協議会の運営委員会で提示される具体的な負担額を踏まえ、対応方針を検討することになるが、追加負担については47都道府県建設業協会の協力が不可欠で、どの程度理解が得られるかが合意形成のかぎとなる。当初のシステム開発費(約10億円)では3000万円を負担、平均で1協会当たり60万円を拠出したとみられる。
また、建設産業専門団体連合会も同様の課題を抱える。ある役員によると、「システムのメリットが表れていない中で、使用料金の引き上げ、開発経費の追加負担は受け入れられないとの声が会員団体から聞かれる」ため、開発経費の追加負担に関する要請があっても「会員団体を納得させられるだけの説明材料を持ち合わせていない」と危惧(きぐ)する。その上で「出捐ではなく、システムが軌道に乗った後に返却してもらえる、貸し出しという形であれば会員団体を説得できるかもしれない」との考えを示す。
日本建設業連合会は全法人会員を対象に追加負担への意見聴取を実施し、8月をめどに対応方針を固める。
当初のシステム開発費を負担した全国中小建設業協会や日本空調衛生工事業協会、日本電設工業協会、住宅生産団体連合会、全国建設労働組合総連合などにも追加負担が求められれば、内部の合意形成が前提となる。
システムの健全運営の実現に向けて、各団体がどういった方向性を打ち出すかに注目が集まる。
残り50%掲載日: 2020年7月27日 | presented by 建設通信新聞