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  • フォーカス・再生可能エネルギー

    【洋上風力、バイオマス 相次ぎ研究会/災害多発、地政学的リスク背景に】

     

     洋上風力発電や木質バイオマス発電など、再生可能エネルギーの導入拡大へ向け、官民連携による動きが相次いでいる。司令塔役の経済産業省が22日に開いた再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会と再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会の合同会議で「再エネ型経済社会」の創造を目指して今後、10の課題についてワーキンググループなど11の会議体で検討をしていくことを決めた。再エネ事業は、洋上風力のような導入・拡大・海外展開までを視野に新産業の創出につながる一方、バイオマス活用は各地域で活力ある社会構造を実現するなど効果の裾野が広い。2020年通常国会で成立した「エネルギー供給強靱化法」がけん引役でもある。

     

     再エネ導入へ向けた取り組みが加速している背景には3つの理由がある。

     

     1つ目は、脱炭素という世界の潮流の中で、再エネを産業として捉えた場合の国際的な産業競争力の強化だ。その代表例が洋上風力となる。2つ目は、自然災害頻発に伴う災害に強い分散型電力システム構築と送配電網の強靱化といったインフラの構築。バイオマスが代表例だが林業などと連携した再エネ事業は地域社会共生につながることが3つ目の理由だ。

     

     経産省の22日の会合に先立って、洋上風力やバイオマスなど再エネ導入・拡大へ向けた会合が相次いだ。17日には「洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会」の初会合、20日には「林業・木質バイオマス発電の成長産業化に向けた研究会」の初会合がそれぞれ開かれた。「再エネの主力電源化」の取り組みに企業が積極的なのは、経団連が政府と連携する「チャレンジ・ゼロ(脱炭素社会に向けたイノベーション)」活動も追い風になっている。

     

     17日の洋上風力産業競争力強化へ向けた官民協議会には、洋上風力事業で重要な役割を担うマリコンなどで構成する日本埋立浚渫協会(清水琢三会長)のほか大手ゼネコンも参加し、事業への強い関心を見せた。

     

     経産省と国土交通省がけん引する洋上風力官民協議会、農水省と経産省が事務局を務める林業・木質バイオマス発電研究会が相次ぎ発足し、最終的には経産省が「再エネ型経済社会の創造」実現を目指すのは、電気事業法や再エネ特措法(再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法)などが改正された、いわゆる「エネルギー供給強靱化法」が20年通常国会で成立し、22年4月から施行されることで、再エネの主力電源化が大きく進むことに期待をしているからだ。

     

     具体的には、改正された再エネ特措法によって、FIT(固定価格買取制度)に加え、新たに市場価格に一定のプレミアムを上乗せする新制度(FIP)創設や、再エネ導入拡大に必要不可欠な地域間連係線など送電網の増強費用の一部を賦課金方式により、全国で支える制度も創設される。

     

     また、政府は再エネとは別に、「国内の非効率石炭火力のフェードアウト」と「石炭火力の輸出支援の厳格化などの措置」も表明済み。

     

     国内産業の活性化、災害への備え、地域社会再構築など理由はさまざまだが、再エネ導入の拡大・加速へ向けた転機を迎えている。

     

    ◆導入拡大へ今後の論点

     

    ◇競争力ある再エネ産業への進化

     

    (1)FIP制度の導入とアグリゲータービジネス(分散型電源などを束ねた電気供給事業)創出

     

    (2)分散型電源の導入加速化、需要家意識改革

     

    (3)蓄電池の普及拡大

     

    (4)洋上風力の競争力強化

     

    ◇再エネを支えるネットワークなどの社会インフラ整備

     

    (1)基幹送電線利用ルールの見直しなど

     

    (2)プッシュ型の系統形成

     

    (3)産業基盤の整備(革新技術の研究開発など)

     

    ◇再エネと共生する地域社会の構築

     

    (1)事業規律の適正化

     

    (2)認定失効制度

     

    (3)地域の要請に応え持続可能な導入拡大を実現する取り組み

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    掲載日: 2020年7月29日 | presented by 建設通信新聞

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