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  • 建設論評・デジタルツイン2

     リアルな都市をコンピューター上で同じように可視化する「デジタルツイン」技術。センサー、AI(人工知能)、ロボティクス、クラウド、5G(第5世代移動通信システム)など最先端の技術を統合したものだ。現実の都市環境を正確に把握するためには、都市全体で発生するあらゆるデータを補足し分析する必要がある。

     

     その中で、注目すべきはセンサーの普及だ。

     

     世界のIoT(モノのインターネット)デバイスの数は390億台と、わずか5年でその数が倍増している。自動車での利用は言うまでもなく、スマートシティーが拡大する産業用途(工場、インフラ、物流)では、前年度比で30%も増加している。2022年には「トリリオンセンサー時代」を迎えると言われ、1兆個を超えるIoTセンサーが出荷されるという予測があるほどだ。

     

     これらからもたらされる多くのデータが、社会のデジタルツインを加速する。

     

     製造業では、設計から製造、運営、メンテナンスまでの設計、製造、利用の一連のプロセスを一元的に管理する共有プラットフォーム「PLM(プロダクト・ライフサイクル・マネジメント)」を導入している。モノをライフサイクル全体で運営管理しようとする動きだ。

     

     有名なところで言えば、GEやロールスロイスの航空機エンジン。エンジンそのものは売らない。エンジンの出力に応じて課金するサブスクリプションモデル(課金制)へビジネスの中心を移行している。各種センサーによりエンジンの実際の稼働状況をセンサーで把握し、最適なメンテナンスのタイミングを割り出し、トラブル回避につなげている。さらに、エンジンから得られたデータに基づき、エネルギー消費を最小化する最適な操縦について航空会社へコンサルタントするなど、周辺ビジネスへも進出している。

     

     最もデジタルツインを活用できているのは、自動車の衝突試験だ。実物実験がなくても、シミュレーションできることは、事業者開発を画期的に変えた。

     

     ブリヂストンでは、売り切り型のタイヤ販売から、タイヤの摩耗具合をIoTセンサーで把握し、事前にタイヤ交換やタイヤの表面を貼り替える「リトレッド」をビジネスの中心に据えようとしている。

     

     コマツは、コムトラックスで、建設機械のデジタルツインを実現した。この技術をさらに進め、トラックや油圧ショベルなどの機器の自動化、自律化に加え、日々の最適な施工計画作成、日々のタスクの自動作成、無人化施工など作業の自動化も見据え、安全で生産性の高いスマートでクリーンな未来の現場を志向している。

     

     BIMとIoTセンサーの組み合わせで、新型コロナウイルスが拡散する空調シミュレーションをバーチャル世界で実現し、それを現実のオフィス空間での処置に生かすことなども既に実現可能な技術だ。

     

     デジタルツインでできる世界は広がる。自動車衝突試験に見られるように、仮想空間で実空間の出来事をシミュレーションし、より実社会が安全で快適な空間になることに期待したいものだ。 (隆)

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    掲載日: 2020年8月4日 | presented by 建設通信新聞

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