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  • 分割型PCa覆工/模擬Tで組立実験/優れた施工性確認/清水建設/プロジェクトへの早期適用に弾み

     清水建設は、シールド工事のセグメントを模したプレキャスト(PCa)部材によって、山岳トンネルの覆工体を構築する「分割型PCa覆工システム」の実用化に踏み出す。3日に静岡県富士市にある日本建設機械施工協会・施工技術総合研究所の模擬トンネルで組立実験を公開した。その施工性を確認したことで、実際のプロジェクトへの早期の適用に弾みがつく。

     

     施工技術総合研究所、IHI建材工業と共同で開発した「分割型PCa覆工システム」は、シールドセグメントの設計手法を応用して馬蹄形の覆工体をセグメントを模したプレキャスト部材で構築していく仕組み。部材の小型化(分割型)とワンタッチ・ワンパス型の継ぎ手の採用によって運搬・搬入・組み立ての施工性を確保。専用の架設機械(エレクター)と形状保持装置を用いることで、緻密な精度管理とスピード施工を両立させた。

     

     i-Construction(コンクリート工の生産性の向上)に対応する技術として、これまで鋼製移動式型枠(セントル)を用いて現場打ちしていた覆工コンクリートの打設をPCa化することで、工期短縮や省人化のメリットを生み出す。

     

     手順は、専用のエレクターで部材を所定位置に配置。その都度、作業員がシールド工事に用いるセグメント用の継手で部材同士を連結・接合する。エレクターによる組立と形状保持装置による保持を繰り返すことで、馬蹄形の覆工体を構築していく流れ。

     

     形状保持装置によって部材を仮り受けすることで、精密な位置調整を実施。位置を決めた後で部材が自重でたわむことがないように形状保持ボルトを使って部材の背面と地山のスペースを維持する。

     

     新たに幅11.2m、高さ7.1m、内空断面66㎡、長さ80mの実寸大の模擬トンネル(2車線を想定)を使用した組立実験では、弧長2.8m、幅1.0m、厚さ140mmのPCa部材6ピースで構成する覆工体9リングを構築。その施工性を検証した。

     

     実機を用いた施工実証によって1ピース当たり平均で約10分、計60分で覆工体1リング(6ピース)を施工できることを確認。模擬トンネルと同規模の新設トンネルでは、従来技術(セントルによる現場打ち)との比較で70%の工程短縮、50%の省人化が可能になる見通しだ。

     

     今後は、新設トンネルや交通規制への影響が大きい既設トンネルの拡幅などリニューアル工事への適用を想定している。最大の特徴である設置スピードを実証する一方、設計値のプラスマイナス5mm以内という緻密な精度管理が可能であることも確認できた。分割型PCa覆工システムが十分に実用化の段階にあることを示したことで、今後のプロジェクトへの適用に弾みをつけた。

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    掲載日: 2020年8月5日 | presented by 建設通信新聞

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