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  • Focus・中小企業の資金繰り/日本公庫の6月調査

    【建設業資金繰り 一定水準維持/採算DIは急速に悪化】

     

     全国各地の信用保証協会の保証をつけた融資を受けている中小・小規模企業の資金繰り環境が大幅に悪化する中、建設業種のDI(好転から悪化を引いた値)は産業平均よりも10ポイント以上悪化幅が抑えられ、12業種中マイナスが最小だったことが、日本政策金融公庫の信用保証利用企業動向調査(6月調査)で浮き彫りになった。ただ採算DIが前年同期(2019年4-6月)に唯一プラスだったが今回調査でマイナス51.9(季節調整値)と大幅に悪化した。新型コロナウイルス感染拡大の影響を建設企業も受けつつある。

     

     日本公庫の調査対象(1万6000社)は、金融機関から融資を受ける時、信用保証協会の信用保証を利用する企業。回答企業の約84%が従業員20人以下の小規模企業。そのため、中小・小規模・零細企業の資金繰り環境を含めた景況感が直接反映すると言われている。

     

     20年4-6月期の資金繰りDI(前期比、季節調整値)は12業種平均で、前期マイナス22.7からマイナス54.4へとマイナス幅が大幅に拡大した。このうち建設業はマイナス44.8で12業種中マイナス数値が最も小さかった。

     

     また7-9月期予測は4-6月期と比べた資金繰りDIで全産業マイナス38.6とマイナス幅が縮小した。

     

     一方、建設業の4-6月期採算DIはマイナス51.9と前期比で40ポイントの大幅悪化となった。7-9月期予想はマイナス42.6と若干改善する。

     

     そもそも建設業の資金繰り環境が他業種の中小・小規模・零細企業と若干違うのは、信用保証制度が金融機関にとっては融資の担保の代わりとして存在する中で、建設業向け融資の場合は元請け・下請け問わず受注工事そのものが担保の役割を事実上果たし、手持ち工事がある限り信用保証も受けやすい点だ。

     

     土木分野の場合は大規模事業だけでなく地域の防災・減災、国土強靱化を含め一定規模の予算が今年度も確保されているほか、建築分野も建築着工床面積及び手持ち工事残高も一定水準を維持、これが中小・小規模・零細建設企業の資金繰り環境悪化拡大を極力抑えていることにつながっているとみられる。

     

     これまで政府は新型コロナ感染拡大を受け早い段階から、中小・小規模・零細企業に対する資金繰り支援として、金融機関に対し返済条件を変更する新型コロナ対応の特例リスケ(リスケジュール)対応や、手形の不渡り猶予、積極的なつなぎ融資などを求めるなど手厚い対応を行ってきた。

     

     実際、金融庁は特例リスケ公表後の3月の2週間で返済猶予申請が2万6000件に上ったことを明らかにしたが、こうしたコロナ対応支援が今のところ倒産抑制につながっている。

     

     ただコロナ影響に伴う今後さらなる景気悪化拡大には大きな不安がつきまとう。例えば、不渡り猶予支援は、倒産判断の先送りにしかすぎないし、コロナ特例リスケについても、「リスケ後を見通せない企業の出口戦略本格化の動きの先延ばしにつながる可能性もある」(東京商工リサーチ)との指摘があるなど、一気に環境が悪化しかねないからだ。

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    掲載日: 2020年8月17日 | presented by 建設通信新聞

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