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高砂熱学工業/水電解技術で月面開拓/宇宙規模の社会貢献目指す
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>高砂熱学工業は19日、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」を運営するispace(東京都港区、袴田武史ファウンダー&CEO)が実施したシリーズB投資ラウンドで、引受先4社のうちの1社として第三者割当増資を引き受け、出資したと発表した。同社はispaceとHAKUTO-Rのコーポレートパートナー契約を結んでいる。2023年に実施予定の「Mission 2」で使用するランダー(月着陸船)には、同社が開発する水の電気分解装置(水電解装置)の搭載を検討している。
今回の出資は、ispaceから月面経済圏の構築に向け、長期的なパートナーとして関係を強化したいとの要請を受け、▽宇宙事業開発のパートナーシップ強化▽宇宙事業開発の成果を応用した地上向けビジネスの展開▽本業の成長に向けた知見獲得--などの目的から出資を決めた。出資金額は非公表だが、ispaceはシリーズB投資ラウンドで、4社から30億円を資金調達したと発表している。
小島和人社長COOは、出資に当たり「当社の熱利用と水電解技術を基軸に月面資源開発を進めていく。宇宙規模での社会貢献を目指した産業創出に挑戦する」とコメントした。
同社は19年12月にHAKUTO-Rのコーポレートパートナー契約を結び、熱利用と水電解技術で協業を進めてきた。これまでに培った技術を使い、ispaceが月面に輸送するランダーの中に水電解装置を搭載。着陸後は、月面上で水の電気分解を実証し、世界初となる月面環境での水素と酸素の生成に挑む。
ispaceが同日に実施したオンライン発表会では、小島社長COOが「当社の水の電気分解装置を利用して月面に存在するといわれる水資源から水素と酸素が生成できれば、ロケットの燃料や宇宙空間で人が暮らすための酸素として利用することができ、月面経済圏の構築に大きく貢献できると考えている。野心的な挑戦だが、経営理念を体現する活動として取り組む」と述べた。
また、月面に輸送する水電解装置のモックアップを公開した。「水素ガスと酸素ガスを生成する水電解セルと、水素と酸素を貯めるタンクが納まっている。実際に月面へ輸送する装置は、これよりも小さく、実用機能を備えた水電解装置としておそらく世界最小・最軽量となるサイズを予定している。想定されるさまざまな課題を検証しながら、月面仕様の電解装置の開発に取り組んでいく」と開発状況を説明した。
将来的に、月面に存在する水資源を蓄熱・伝熱技術を応用して採取する技術「サーマルマイニング」の開発、さらに月面で水資源をエネルギー利用するための「月面エコシステム」の構築にも挑戦する。
月面経済圏の創出には、月に存在する資源を活用した月面エコシステムの構築が不可欠。水の電気分解技術だけでなく、水素と酸素の液化・貯蔵、それを供給する装置などの技術が必要になる。同社とispace、さまざまな企業との連携によって「水資源採集・水素/酸素供給システム」の構築を目指す。
HAKUTO-Rプログラムは、月面探査の実現だけではなく、民間企業に月でのビジネスチャンスを提供し、月を地球の経済・生活圏に取り込むことを目指すプロジェクト。ispaceは、HAKUTO-Rのパートナーシップ事業とペイロード事業(月への輸送サービス)に加え、今後展開予定の「月面データ事業」のサービス提供をイメージした、新たなビジョン「Blueprint Moon」を19日に発表。月の画像や環境のデータ、資源情報などを収集・加工した上で政府宇宙機関、大学、企業などに提供し、顧客の月面開発に役立ててもらうことを計画している。
残り50%掲載日: 2020年8月21日 | presented by 建設通信新聞