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  • フォーカス・コロナ禍の企業倒産/4ヵ月連続減 建設企業は優等生

    【先行きは価格・工期競争激化懸念】

     

     新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済・景気の急速な悪化と低迷を示す企業倒産件数で、「建設業」は倒産抑制業種の筆頭として踏ん張っている。東京商工リサーチが公表した7月の全国企業倒産(負債額1000万円以上)で、建設業は4月から4カ月連続の前年同月比減少となった。コロナ禍でも倒産を4カ月連続で抑制できた業種は10業種中、建設業だけ。ただ一方で、建設市場の先行きに影響を与える企業の設備投資は、9年ぶりのマイナスに転じるとの金融機関の分析もあり、不透明感が強まっているのも事実だ。 7月の産業別倒産は、10業種中5業種で前年同月を上回った。最多は、インバウンド(訪日外国人客)需要の消失や外出自粛など新型コロナの影響を大きく受けた「サービス業他(含む飲食業)」で、16.9%増の283件。2カ月連続の増加で今年最多を更新した。このほか「農・林・漁・鉱業」が3カ月連続、「卸売業」と「金融・保険業」が2カ月連続、「運輸業」が3カ月ぶりにそれぞれ増加した。

     

     一方、「建設業」は10業種の中で27.2%減の104件と、唯一4カ月連続の減少となった。7月の104件は、過去30年間で最少。これまで最少だったのはバブル期の1990年の116件だった。

     

     このほか、「小売業」と「情報通信業」が3カ月連続、「不動産業」も2カ月ぶりに減少した。倒産件数から見た業種別での新型コロナの影響度合いは、二極化の傾向が浮き彫りになった。

     

     ただ、他産業ほど新型コロナの影響を受けていないことが倒産や雇用、受注、着工などさまざまな統計からも明らかになっている建設業だが、先行きには不透明感が増している。

     

     日本政策投資銀行は2020年度設備投資動向調査で、首都圏にはついては「9年ぶりにマイナスになる公算が大きい」との分析結果を公表した。設備投資額の7割程度を占める非製造業が、再開発投資減少などにより計画額が前年度比3.0%減となることが理由。

     

     これまで建設市場は、土木分野については政府の防災・減災、国土強靱化に対する3年間の集中投資や、大規模インフラ整備が進行中のほか、建築分野もこれまでの旺盛な民間設備投資意欲に支えられてきた。

     

     一方、住宅着工戸数は昨年7月から12カ月連続して前年同月比減少し、今年度の戸数減少は決定的となっている。また、近年は一定水準を維持してきた官需を中心とした土木と、リーマン・ショックからの単価値戻しが成功しつつある民間非居住建築の先行きにも不透明感が漂い始めた。

     

     ただ不透明感とは別に、先行きの見方はいまのところ関係者間で一致している。土木分野は「災害頻発の現状を踏まえれば、防災・減災、国土強靱化の投資は維持せざるを得ない。少なくとも来年度予算までは大きく削減されることはない」との分析だ。一方、建築は「投資抑制はあるかもしれないが、リーマン・ショック時のような急激な建築市場縮小はないかもしれない。それよりも、価格・工期という2つの側面でのダンピングが拡大することのほうが問題だ」という見方もある。

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    掲載日: 2020年8月21日 | presented by 建設通信新聞

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