建設技術者向けNEWS
建設技術者の方が知りたい情報を絶賛配信中
会員登録いただくと無料で閲覧可能です!
-
建設論評・DXの時代に
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>日本の国際競争力の低下に歯止めがかからない。
スイスのビジネススクールIMDの最新『2020年版世界競争力ランキング』で、日本の順位は過去最低となる34位に沈んだ。昨年の30位からさらに後退した。
日本の前後は、チェコとスロベニア。アジアでも香港、台湾、中国、マレーシア、タイよりも順位が劣る結果だ。ちなみに1位はシンガポール、2位はデンマーク、3位がスイス。
日本のランクの低さは「ビジネスの効率性」にある、と指摘されている。「企業の俊敏性」や「起業家精神」において、調査した63の国・地域のうち最下位の評価と、情けない限りだ。
誰しもこの日本の閉塞感を脱却したいと思っているはず。その唯一の解決方法が、デジタル化だ。単なる業務のデジタル化ではない。企業のありようを大きく変革する、まさに「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が求められている。
DXとは、ウメオ大学(スウェーデン)のエリック・ストルターマン教授が、2004年に発表した論文『Information Technology and the Good Life(情報技術と良い生活)』で使った言葉だ。「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」というのが「DX」の趣旨である。
「DX」とは、アナログな仕事を単純にデジタル化することではない。フィルムカメラをデジタルカメラに置き換えるだけでなく、画像データを自由にシェアできるようなInstagramやSNSなどの新しい社会を創造することだ。
多くの経営者はデジタル化の後れを取り戻すために、DXと称する組織をつくる。しかし、重要なことは形よりも「人材」だ。有為な人材を育てるためには、チャレンジさせ「失敗」の経験を積むことだ。「失敗」から学ぶことで、次の大きな改革につなげることができる。
同じようなことはゼネコンの海外戦略でも見ることができる。せっかく海外の建設現場の経験者が増加したところで、海外市場の失敗を個人に帰して、そこで学んだマネジメント手法、調達手法、多国籍チームを統率する能力、複雑な海外との契約、タフなネゴシエーションなど、さまざまな経験を積んだ人を排し、海外市場から撤退し、再度、1からの出直しとしてしまった。本来は失敗の経験から学び、改善して、日本流の新たな海外戦略を構築すべきであったが、失敗を恐れ、貴重な経験までも失ってしまったのが、当時のゼネコンだ。
いかに早く「失敗」に学ぶ人材を育てられるかに、DX、企業の成功はかかっている。
英語でデジタルトランスフォーメーションを「DX」と表すのは英語の接頭辞「Trans」が「X」と表記されるためだが、この「X」が、ゼネコンにとっても、日本にとっても、IMD順位がTOP3になるような明るい日本になることに期待したいものだ。(司)
残り50%掲載日: 2020年8月24日 | presented by 建設通信新聞