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待機と3密回避 両立が課題/道路除雪にコロナの影響/物理的な限界懸念
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>積雪寒冷地の社会・経済活動を支える道路除雪でも、新型コロナウイルス感染症の影響が懸念されている。国道除雪ではオペレーター(除雪機械操縦者)らが除雪基地に待機して降雪に備えるが、基地内は同感染症を想定して「3つの密(密閉・密集・密接)」を回避するようなスペースが確保されておらず、感染防止対策には物理的な限界がある。3密回避の観点から待機人数を限定すれば、急な豪雪に対応できないばかりか、オペレーターの収入減を招き、結果として担い手不足を加速させかねない。一方、これまでの除雪体制では集団感染が危惧(きぐ)され、道路除雪はジレンマを抱える。
豪雪地の県建設業協会とある地方整備局との意見交換会で、協会側は道路除雪が地域建設業の使命であることを強調した上で、「(物理的に)除雪基地での待機と、感染防止対策の両立が難しい」と訴えた。
国道除雪は気温、降雪量などの予測(天気予報)に基づいて、降雪前にオペレーターらが除雪基地で待機する。初雪が早く、降雪量も多い地域では10月下旬から除雪体制を構築。交替制の24時間態勢で25-30人の作業員が常駐し、災害級の豪雪時には50人程度まで拡充する。
除雪基地は除雪作業の過酷さを考慮し、快適に過ごすための設備が 整っている。ただ、未知の感染症を見越して、ソーシャルディスタンスが確保できるような広さではない。
さらに、厳しい寒さの中で窓を開けて空気を入れ換えることも難しい以上、感染防止対策として実施できるのは手指衛生とマスク着用の励行などに限られる。
待機人員を削減すれば感染リスクは減少するものの、予測が難しい急な豪雪に対応できず、住民生活などに支障を来しかねない。また、除雪作業を冬季収入の柱とするオペレーターも多く、収入の減少によってオペレーターが離れ、除雪体制を維持できなくなることが、地域の守り手である地域建設業と道路管理者にとっては最も避けなければならない事態と言える。
除雪作業は公益性が高く、持続可能な地域社会を実現する上で不可欠な「エッセンシャルワーク」でもある。そうした認識が広く浸透した結果として、労働基準法33条第1項の時間外労働の運用許可基準が見直された。自然災害の応急復旧を始め、一部の業務は例外的に時間外労働の上限規制から除外されるが、基準見直しで除雪作業も許可対象(上限規制の除外)に含まれた。
除雪体制の維持に光明が見えつつある中で、コロナ禍によって別の課題が浮上し、除雪体制の維持と感染拡大防止の両立に向けた明確な対策づくりが求められる。
残り50%掲載日: 2020年8月25日 | presented by 建設通信新聞