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  • 環境省環境再生・資源循環局長 森山誠二氏に聞く/除去土壌の再生利用で最終処分量減

    【災害廃棄物安定処理の仕組み高める】

     

     環境省の環境再生・資源循環局長に、国土交通省出身の森山誠二同局次長が7月21日付で就任した。福島県での中間貯蔵施設事業や除去土壌の再生利用、特定復興再生拠点区域の除染・家屋解体、特定廃棄物処理などの環境再生、災害廃棄物を含む廃棄物の適正処理、プラスチックを始めとした資源循環に取り組む。森山局長に事業の現状や今後の取り組み方針などを聞いた。

     

    --就任の抱負を

     

     「福島の再生は進んでいるものの、まだ道半ばであり、全力を尽くす。災害廃棄物処理は重要課題と位置付け、きちんと対応する。プラスチックごみ問題への対応も大きな課題で、『プラスチック資源循環戦略』に基づき取り組みを展開。PCB(ポリ塩化ビフェニール)処理は(2027年3月末までの)処理期限までにしっかり対応する」

     

    --福島再生の現状と今後の取り組みは

     

     「除染で出た除去土壌などは約1400万m3あり、中間貯蔵施設に運び込む。施設の用地は約74%を取得した。施設整備も進み、除去土壌などの受け入れに対応でき、既に約800万m3を施設に運び入れた。現在は1日当たり2万m3弱を輸送している。福島県内各地には約1400カ所の仮置き場があったが、500カ所程度にまで減った。地域から仮置き場がなくなり、目に見える形で再生が進んでいる。帰還困難区域を除く福島県内の除去土壌などの施設への搬入は、安全を第一に21年度中におおむね終える」

     

     「帰還困難区域は特定復興再生拠点区域がある6町村のうち大熊、双葉、富岡の3町のJR東日本常磐線駅周辺の避難指示を3月に解除した。21年度中に大熊、双葉の両町と葛尾村の区域の除染と家屋などの解体を終え、避難指示が解除できるよう取り組む」

     

     「除去土壌の県外最終処分に向けては、最終処分量を減らすために再生利用が重要だ。南相馬市の仮置き場で盛り土による実証事業をしたが、空間線量率などに問題は出ていない。飯舘村の長泥地区では、再生資材化した除去土壌を使って農地を造成する。6月に工事契約を結んだが、早期に再生利用が見える形にしたい。再生利用の理解醸成に向け、長泥地区の実証事業で栽培した花を大臣室に置くなどの取り組みによって、国民の理解が進むよう努める」

     

     「特定廃棄物処理は、富岡町にある処理施設への搬入が順調に進み、既に計画の約5割を搬入した。福島県外指定廃棄物処理は各県と相談しながら、できることから一歩ずつ取り組んでいく」

     

    --骨太の方針に、特定復興再生拠点区域外の政策の方向性検討が明記された

     

     「内閣府を中心として復興庁、環境省などで検討する。いろいろな解があるかもしれない。一律の方向というよりも、地域や地区の実情をよく踏まえ、一般的な対応、個別対応などと知恵を絞りながら取り組む」

     

    --廃棄物・リサイクル行政の取り組みは

     

     「災害によって家屋の片付けごみなどの災害廃棄物が大量に出る。自治体だけでは処理しきれないこともあり、県や環境省が現場に職員を派遣して支援するとともに、自衛隊の力を借り処理を進めている。災害の多発で自衛隊との連携や自治体の役割分担は、システム的にできるようになってきた。今後、災害廃棄物を安定的に処理する仕組みを一層高めたい」

     

     「国内のプラスチック廃棄量は年間約900万tある。このうちレジ袋の生産量は年間20―30万tに過ぎないが、レジ袋の有料化はプラスチック削減の第一歩である。国民の関心は高く、これを契機に資源循環への取り組みを強力に進める。廃棄物処理技術の海外展開では、焼却や埋立方法が重要になるため、関連した技術を世界に発信して展開する」

     

    --局の事業を担う建設産業界にメッセージを

     

     「除染では、放射線量を下げる成果を出してもらった。19年度土木学会賞・技術賞の連名受賞はうれしいことであり、業界にとっても今後の励みになる。除去土壌などの中間貯蔵施設への搬入では、安全運転を心掛けてもらい、地元から『輸送車両を見ると安心』との声が寄せられている。目立たないことだが、業界の努力を地元が理解していると受け止めており、建設産業界に感謝している。これからも一層の協力をお願いしたい」

     

    *   *

     

     (もりやま・せいじ)1986年3月東大工学部土木工学科卒後、同年4月建設省(現国土交通省)入省。2012年4月静岡県副知事、14年4月国土交通省中部地方整備局企画部長、16年6月道路局環境安全・防災課長、18年7月環境省環境再生・資源循環局次長を経て現職。岡山県出身、57歳。

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    掲載日: 2020年8月28日 | presented by 建設通信新聞

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