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  • 大林組、ENEOS/生分解性で環境配慮/テールシール充てん材改良

     大林組は、ENEOSと共同でシールド工事におけるトンネル内への地下水の流入を防止する従来のテールシール充てん材を改良し、生分解性を持つ材料を使うことで環境への影響を減らせる「シールノックBD」を開発した。

     

     シールドマシンの後端部に備えられている止水機構であるテールシールは、主にワイヤーブラシと鉄板で構成され、ブラシ自身やセグメントと密着する部分に常に充てん材(テールグリース)を補給することで止水性能を維持している。しかし、テールシール内に裏込め注入材が混入し固結すると、テールシールの柔軟性が著しく低下するため、最悪の場合セグメントを損傷させることがあった。そのため両社は、裏込め注入材が混入しても固結しにくいテールグリース「シールノックCR」を共同で開発し2016年の販売開始以来、多くのシールド工事現場で適用してきた。

     

     一方、シールドトンネル付近の地層からの地下水が利用されている場所などでは、地下水にテールグリースの油成分が流出するリスクが懸念されることから、近年、環境配慮へのニーズが高まっている。今回、両社が共同で開発したシールノックBDは、シールノックCRの特長を備えつつ、主成分に生分解性を持つ材料を使った環境に優しいテールグリースだ。

     

     従来のテールグリースは、主成分に生分解性を持たない材料を使っていたが、シールノックBDは、主成分に生分解性を持つ材料を使っているため、環境負荷を大幅に減らせる。

     

     また、高い止水性によりトンネル内の安全性と作業性を確保する。テールグリースの止水性能を計測する耐水圧試験、施工現場での適用試験で、シールノックCRと同等以上の止水性を確認した。裏込め注入材が混入しても、圧送可能な軟らかさ(ちょう度)をシールノックCRと同様に混入後24時間程度保持する。固結を防ぎながら、ちょう度を保つことが可能なシールノックBDをテールシールに常時補給することで、高い止水性を維持するとともにセグメントの損傷を防止する。

     

     さらに、テールグリースはシールドマシンの後方の台車に設置された給脂ポンプを使って、テールシールに配管を通じて圧送される。圧送距離は大断面シールドでは100m近くなる場合もあり、必要な圧送圧を確保するため、高粘度液専用の大型給脂ポンプが採用されている。シールノックBDは比重が軽いため、給脂ポンプで圧送する際のポンプ負荷を軽減できる。試験室内での圧送試験と施工現場での適用試験で、テールグリース圧送時のポンプ負荷をシールノックCRと比べて約3割軽減できることを確認した。

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    掲載日: 2020年9月4日 | presented by 建設通信新聞

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