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道路メンテ課題探る/自治体、地域建設業が議論/土木学会全国大会in中部オンライン特別討論会
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>土木学会(家田仁会長)の「2020年度土木学会全国大会in中部オンライン」で、同学会中部支部が企画する特別討論会が10日に開かれた。「地方自治体における技術の伝承-道路メンテナンスの現場から-」と題し、福田敬大国土技術政策総合研究所道路構造物研究部長による軽妙な司会の下、自治体や地域建設業の代表者が道路メンテナンスに関する課題や改善策などを率直に話し合った。
道路構造物などの法定点検を通じて、人員や予算、技術力などの問題点が浮き彫りとなる中で、課題解決に向けた方向性を議論し、今後の取り組みに生かすのが狙い。
福田部長のコーディネートに基づいて、パネリストの久野悟志氏(愛知県)、杉山清幸氏(岐阜県)、藤本佳久氏(三重県)、吉永匡宏氏(静岡県吉田町)の4人が各自治体の道路施設のメンテナンス状況などを説明した。続いて、小野組(新潟県胎内市)の小野貴史社長が未来志向で地域建設業のあり方を模索する、「地域建設業新未来研究会(CCA)」の活動を報告した。
1巡目の法定点検を通じて、点検作業自体は円滑化しつつあるものの、各県の担当者は「県もさることながら、(県内)市町村の土木職員不足を感じている」と口をそろえた。三重県では29市町のうち9市町で土木職員が不在だという。
こうした認識に対して、吉永氏も同調。吉田町を例に挙げ「200人の職員がいるが、土木技術者は4人。毎年採用を募っているが、応募すらない。危機的状況」とし、「(土木系の)事業部に一般職が配属されることもあるが、専門的な知識や技術もなく、苦労が多い。また、異動によって別の(一般職)職員が配属されれば、ゼロからのスタートになる」と苦境を訴えた。
発注者の技術伝承の難しさを共有しながらも、藤本氏は「三重県では若手職員を専任監督員、中堅職員を主任監督員、ベテラン職員を総括監督員に位置付けて、若手をサポートしている」と紹介した。
人材(技術者)の確保については、受発注者間の獲得競争領域となり得るが、小野社長は「(技術者を)奪い合っていては足りなくなるが、与え合えば円滑に循環する」との考えを示した上で、「和合館工学舎」の設立経緯を説明した。
また、パネリストから債務負担行為を活用したメンテナンスコストの平準化、UAV(無人航空機)などを使った点検も紹介され、予算や新技術導入の現状を確認した。コメンテーターを務める兵動太一氏(富山県立大学)は富山県で普及している消雪パイプの整備に伴う井戸掘削の安全性向上対策を解説した。
最後に、福田部長の発案でインフラメンテナンスに関するなぞかけを披露。福田部長は「橋梁の長寿命化」とかけて「落語家を目指す若者」と解き、「その心は『ししょう(橋梁の支承、師匠)』の選び方が大事」と発表、会場を沸かせた。パネリストもユーモアに富んだ回答を提示し、盛況のうちに幕を閉じた。
特別討論会に先立って、自治体や地域建設業、ゼネコン、コンサルなどの担当者が学術発表した。
残り50%掲載日: 2020年9月11日 | presented by 建設通信新聞