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  • ロボット活用を探る/研究討論会/土木学会全国大会in中部オンライン

    【異業種連携など議論】

     

     土木学会(家田仁会長)の「2020年度土木学会全国大会in中部オンライン」は、大会最終日の11日に「建設ロボットの開発、導入、活用方策のための課題と対策-コロナ時代の建設施工のあり方を考える-」をテーマとした研究討論会を開いた。技術、関連法規、異業種連携など建設ロボットの実用化に向けた課題や解決方策を共有した。

     

     建設用ロボット委員会の建山和由委員長がコーディネーターを務め、各委員によるパネルディスカッションを実施した。

     

     建設ロボットの実用化に不可欠な5G(第5世代移動通信システム)の活用について、古屋弘氏(大林組)は「情報が送られるダウンリンクの帯域は広いものの、情報を送るアップリンクの帯域は狭い」とし、双方向の良好な情報環境が前提となる建設ロボットでは「アップリンクの帯域拡大も必要」と指摘した。

     

     小池勝矢氏(ソフトバンク)も同様の認識を示し、「通信事業会社共通の課題」と応じた。

     

     また、建設ロボットは産業用ロボットと異なり、安全に関する法令上の規定が存在しないため、小島英郷氏(清水建設)は「工事現場で建設ロボットを使用する場合は、現場ごとに労働基準監督署と協議しなければならない」とし、安全基準の不明確さがロボット活用の障壁になっていることを示唆した。

     

     大井健氏(コマツ)も「建機メーカとしても安全確保に対する一定の責任がある」とした上で、「現場ごとの状況が異なる中で、どこまで対応すべきかは頭を悩ます」と吐露した。

     

     これに対して、渡邉賢一氏(国土交通省)は「責任の所在を明らかにする規制は、関係者を守るためにある」とし、「今回のように皆さんで議論しながら知見を積み重ねて、(安全基準の)線引きを決めていくことが望ましいのでは」との考えを示した。

     

     技術開発では、山口秀樹氏(西尾レントオール)が「ユーザーの意見が技術の進展につながると考えている」と述べた。宮武一郎氏(先端建設技術センター)も「さまざまな意見を取り入れることで創意工夫が生まれる。ユーザー側の声を集約し、(建設ロボットの)開発者や提供者に伝える仕組みが求められる」と同調した。

     

     異業種連携では、永谷圭司氏(東大)が開発を進める「建設機械用オープンプラットフォーム」に焦点を当てて、議論した。

     

     同プラットフォームは、施工者と建機メーカーの協調領域が不明確なことで技術開発・導入の遅れにつながっていることから、施工者と建機メーカーの競争領域と協調領域を明確化する。具体的にはオープンプラットフォームを通じた制御信号の統一化(信号のルール化)を目指している。

     

     三浦悟氏(鹿島)は、協調領域の明確化に向け「産学官の検討体制の構築が必要」との見方を示した。永谷氏も「協調領域をどうやって明確化するかがポイント」とした上で、協調領域が徐々に確立されることで「地方の建設企業の技術開発につながっていくことが期待される」と述べた。

     

     油田信一氏(芝浦工大)は技術開発を進めてきた企業の優位性を残しつつ、協調領域を明確化していくことが重要とした。

     

     最後に建山委員長が建設分野の改革で最も大切なこととして、「現場の課題を明確にし、その解決に向けた方法を検討すること。その実現のために、ICTや建設ロボットの活用を模索する必要がある」と締めくくった。

     

     パネルディスカッションに先立って、各委員の講演もあった。

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    掲載日: 2020年9月14日 | presented by 建設通信新聞

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