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  • カナリヤ通信・第51号/建設技術研究所の「新しい働き方改革」

    【取締役執行役員管理本部長 鈴木直人氏/効果的なテレワーク確立/社員が自律して行動する風土構築/多様な知恵をサイバー空間で共有】

     

     建設技術研究所は、新型コロナウイルス感染防止対策を契機に、テレワークを軸とした「新しい働き方」を推進している。ICTを積極的に活用して場所や時間にとらわれずにこれまでと違った仕事のやり方、多様な働き方を自らが選択して生産性を高め、物理的な制約を超えてサイバー空間で知恵を共有し合うことでより良い成果につなげていく。その目指すところは社員が会社に縛られずに自律して行動する風土の構築にある。

     

     同社は、長時間労働の解消などを目的に2008年度から働き方改革に取り組み、在宅勤務を含む多様な勤務形態もいち早く導入してきた。19年6月には在宅勤務とサテライトオフィス勤務、モバイルワークなどに関連するテレワーク勤務規定を整備したが、納期が最も集中する3月、新型コロナへの対応として全従業員を対象に原則出社を禁止し、在宅勤務に切り替えるなど、想定していない形で全社的にテレワークが一気に加速。その影響が長期化する中で、中村哲己社長は4月30日にテレワークを活用した新しい働き方改革を恒常的な施策として積極的に進めていくことを表明した。

     

     4月の段階でアルバイトも含めた全社員に在宅勤務できるようモバイルPCやモバイルルーターなどを無条件貸与。情報セキュリティーを確保したネットワーク環境も整備した。社内にあるサーバーをクラウド化することも20年度内に実施する予定だ。また10月1日から大幅に社内システムをウェブワークフローに移行し、稟議などでの脱ハンコ、ペーパーレス化を加速させる。

     

     オフィスのあり方も大きく見直す。鈴木直人取締役執行役員管理本部長は、「テレワークの進展によって、当初はオフィススペースを縮減できるのではないかと考えていたが、より働きやすいオフィスのスタイルに変えていくことを基本にいま考えている」と話す。具体的には、発注者や協力会社などとの打ち合わせでニーズの高いウェブ会議用のブースや集中スペースの増設、フリーアドレス、事業所サテライトスペースの拡充など、働き方のニーズに応じたオフィスの有効利用を図る。東京本社ではワーキンググループを設置し、3年から5年のスパンで望ましいオフィス計画の議論を開始した。各支社や事業所でも必要なスペースを随時拡充していく。

     

     さらに、民間サテライトオフィスも積極活用する。ZXY、workstylingと会社契約しており、社員は自由に使うことができる。鈴木本部長は「集中できるかどうかで生産効率はものすごく変わってくる」とし、「テレワークか出勤かという選択ではなく、仕事の内容に応じてテレワークや会社、サテライト、また集中スペースなど働くところを適宜選択していく。会社に行くことが仕事ではない。仕事のあり方を見直すいい機会にもなる」と期待を寄せる。

     

     テレワーク関連の諸規定も改正する。現行の規定では、在宅勤務は正社員と契約社員のうち、育児・介護を担う者を主たる対象者としていたが、アルバイトを含む全社員に対象を拡大する。対象業務の制限もなくした上で、みなし労働時間(週14時間)を撤廃し、実労働時間による時間管理に変える。また在宅勤務での光熱費と通信費の個人負担を補助するため、在宅勤務手当制度を創設。通勤費も定期代支給から実際の出勤日数に応じた実費支給へ変更する。いずれも10月1日から適用する。

     

     現在、技術職の補助的な作業を担うアルバイトは400人を超えるが、「指示内容が明確であるため、社員よりアルバイトの方が在宅に向いているという意見が多い」(鈴木本部長)ことから、これに伴い積極的に在宅勤務に切り替えていく方針だ。

     

     人事制度では地域限定正社員の適用拡大についても在宅を基本とした勤務形態を導入する形で検討している。

     

     一方で「人事考課をどうやるかは直近の課題」であり、「ある程度強制的にでも課題や将来のキャリアイメージなどを話し合う場を設けていく。意識してコミュニケーションを取り雑談を含めて進捗状況や人事考課の達成状況を確認し、意識をすり合わせていく仕組みを導入検討中」という。

     

     最終的な狙いとして、第1に「ワークライフバランスを改善し、社員のモチベーションを向上する」ことを挙げる。テレワークを通じて「会社に縛られずに自律して行動してもらう。コロナに関係なく、そうした風土を構築していきたい。自律した社員がやる気を持って業務に当たることで生産性が向上しイノベーションも生まれ、それが会社の価値につながっていく」と。さらに、「物理的な制約を超えてサイバー空間で社員がコラボレーションする。多様な社員の知恵をサイバー空間上で共有し合って、より良い成果を創出する。そうすれば介護や本人の志向などで活動地域に制約を受ける社員も活躍できる。それがまさに新しい働き方となる」と見据える。

     

    ■積極的な創意工夫や情報発信を後押し/社内SNSでコミュニケーション

     

     職場コミュニケーションの活性化に大きく寄与しているのが社内SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の活用だ。マイクロソフトのTeams上に作成されたパブリックグループの「テレワーク知恵袋」は、テレワークにおける効率化に関する情報交換のためのチームだが、「これまでにない盛り上がりを見せており、情報を共有する1つの流れになっている」という。現時点でメンバーは837人と社員数の半数近くにまで達している。優れた取り組みは表彰するとしており、それが積極的な創意工夫や情報発信を後押ししている。図は大阪本社道路・交通部の若手社員有志でつくる働き方改革推進チームがバーチャルオフィス利用などを提案した「道路・交通部の働き方3.0」の概念。鈴木本部長は「自ら発案し発信していく動きを広げていきたい」と手応えを口にする。

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    掲載日: 2020年9月24日 | presented by 建設通信新聞

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