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6事業に19億2100万円/建設業関係の安衛対策/厚労省概算要求
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>厚生労働省は、2021年度予算の概算要求に建設業関係の安全衛生対策事業として、6事業で計12億4200万円を盛り込んだ。「地震、豪雨・台風などの自然災害にかかる復旧・復興工事安全衛生確保支援事業」では、継続する事業内容に加え、新たに有識者による検討委員会を設けて、これまで蓄積してきた自然災害からの復旧・復興工事での安全衛生確保対策のノウハウを整理し、対策のあり方などを検討する。22年3月に今後の大規模自然災害からの復旧・復興工事の安全確保に役立つ報告書を作成する。また、墜落・転落災害などの防止対策では、新規で建設職人基本法の基本計画と改正労働安全衛生法令の内容を説明する資料を25万部作成する。
◆外国人向け視聴覚教材の対応言語追加
6事業のうち業種横断で実施する「外国人労働者安全衛生確保対策事業」での建設業外国人労働者向け事業の要求額は7億6700万円。これまでの安全衛生対策は、技能実習制度と外国人建設就労者受入事業を対象に実施していたが、20年度から「特定技能」の在留資格による外国人労働者が加わった。建設現場での作業は、高所作業や重機を使う作業など危険なものが多いことから、外国人労働者に対する確実な安全衛生教育の実施は不可欠になっている。
事業では、外国人労働者向けの安全衛生教育に使う視聴覚教材を開発、作成するとともに、外国人労働者を雇用する事業者などの安全衛生管理を支援する技能講習補助教材も作成する。
建設業での外国人労働者向けには、安全衛生教育で活用できる「安全衛生リーフレット」と「安全衛生教育用視聴覚教材」を作成済み。21年度事業では、視聴覚教材の対応言語を3言語追加する。外国人労働者の母国語を使うことで、労働災害を防ぐ安全衛生対策の内容を確実に理解してもらう。
また、VR技術を活用した非言語教育教材を開発し、体験会をウェブ方式で実施する。外国人労働者の安全衛生管理に関する相談に対応する「外国人共生センター安全衛生班(仮称)」も開設。外国人労働者安全衛生管理の手引きも作成して、安全衛生管理のポイントなどを周知・広報していく。
◆復旧・復興工事の労災防止対策検討
「地震、豪雨・台風などの自然災害にかかる復旧・復興工事安全衛生確保支援事業」の要求額は1億6400万円。東日本大震災被災3県と熊本県で実施する。中小建設企業を重点対象に、安全衛生にかかわる拠点を岩手、宮城、福島、熊本の4カ所に設けて、建設現場所長OBなどの安全衛生専門家による現場の巡回指導を実施、統括安全衛生管理を徹底する。4県とも1カ月当たり20現場の巡回指導を見込む。
また、建設業に新規入職する未熟練労働者の教育・研修と、安全衛生の「キーマン」となる下請企業の職長や、元請中小ゼネコンの現場代理人など管理監督者に対する再教育を行う事業者支援として動画を作成、配布する。巡回指導の際に現場労働者に対する短時間のワンポイント教育も実施する。
加えて、新規で今後の復旧・復興工事での安全確保に役立つ報告書をまとめる。
◆墜・転落防止対策推進要綱で研修会
「墜落・転落災害など防止対策推進事業」には9200万円を求める。手すり先行工法など「より安全な措置」の普及率を高めるため、全国で400カ所の工事現場を対象に労働安全コンサルタントなどの専門家が診断を実施。その結果に基づく改善計画を作成して、現場に助言する。足場からの墜落・転落防止総合対策推進要綱に基づく対策の周知・普及の研修会は、動画配信で実施する。受講は1800人程度を想定している。
また、新たに作成する建設職人基本法の基本計画と改正安衛法令の内容を説明する資料は、工事現場での診断などの機会を活用し広く周知していく。
◆レガシーとなる労災防止対策など検討
「東京五輪・パラリンピック競技大会の建設需要に対応した労働災害防止対策」には4200万円を要求した。具体的には、大会が終了しても仮設施設の解体や施設の改修工事などがあることから、▽中小事業者が雇用する新規入職者(600人程度)と、元請けや1次下請けの管理監督者(140人程度)を対象に、安全衛生の専門家による安全衛生教育の講習会を48回実施▽労働基準監督署など行政の工事現場に対する指導強化に加え、安全衛生専門家が首都圏の工事現場を巡回して、安全な作業方法などを専門技術的な立場で助言・指導――に取り組む。
また、大会施設工事で取り組んでいる安全衛生対策のうち、レガシーとして引き継ぐべき労災防止対策などを検討する。検討成果は、将来にわたり取り組むべきである対策などとしてまとめるとみられる。この事業は21年度が最終年度となる。
◆事業者向け冊子を新規に作成
「一人親方や中小事業主などに対する労災保険特別加入制度の周知広報など事業」では、同事業の一部として建設業の一人親方などの安全衛生対策活動を支援するため8100万円を求めた。安全衛生に関する基本的な知識を十分身に着ける機会が得られなかった一人親方などを対象に教育を実施する。
一人親方などの特徴的な行動様式などを踏まえた教育ができるよう、作成済みの安全衛生教育用テキストを使い、一人親方などに安全衛生教育を動画配信で600人程度に受講してもらう。
また、安全衛生対策の周知用パンフレットは、引き続き一人親方向けに5万部を作成するとともに、新たに事業者向けパンフレットを3万部作成する。
工事現場に対する巡回指導も引き続き実施する。安全衛生の専門家100人を指導員として委嘱し、1人当たり年間24回、延べ「2400人日」巡回指導する。主な対象は一人親方が入場している木造建築工事現場などで、安全な作業方法などを助言・指導する。
◆中小専門工事業の安衛活動支援
「中小専門工事業者の安全衛生活動支援事業」の要求額は9600万円。事業では、中小専門工事業者に対する指導や意識啓発、映像教材の作成などを実施する。指導では、対象職種を選び、対象職種の中小専門工事業者などに対し専門家が都道府県ごとに2回、集団指導・技術研修会を映像配信で行う。また、対象職種の業界が現場をパトロールし、その結果を踏まえて、安全衛生活動をフォローアップするための個別指導も実施する。対象職種は21年度に決める。
意識啓発では、中小専門工事業者などの安全衛生意識を向上するため、都道府県ごとに安全衛生大会を開く。映像教材は、中小専門工事業者が社内で使用できる短時間の教材を作成して、インターネットを通じて配信し、活用してもらう。
残り50%掲載日: 2020年9月29日 | presented by 建設通信新聞