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  • 話題縦横・改正建設業法が施行/対応のポイントをQ&A形式で解説

    【“影響”に着目、適正工期を判断/ガイドライン参考に加入保険確認】

     

     1日から改正建設業法の大部分が施行する。今回の法改正によって、建設企業や労働者の働き方はどう変わるのか。工期の適正化や社会保険加入の要件化、監理技術者の専任緩和、経営業務管理責任者の配置規制といった制度改正の内容を中心に、Q&A形式で対応が必要となるポイントや新たに活用できる仕組みなどを解説する。

     

     Q 著しく短い工期とはどれくらい

     

     A 著しく短いかどうかは、工事の内容や工法、投入する人材や資材の量などによるため法令で一律に判断はしていない。実際の運用としては、工期短縮がもたらす“影響”に着目する。工期そのものの定量的な長短ではなく、工期が短くなることの結果として、長時間労働などの不適正な状態を生じさせているかどうかが法令違反の基準となる。従って、著しく短い工期の判断材料は、実際に締結された契約内容だけでなく、注文者(発注者または元請け)や受注者の工期に対する認識、その現場の労働実態を確認できる賃金台帳などとなる。許可行政庁が内容を総合的に精査した上で決定する。

     

    Q 一度はその工期で契約しているのに、後から著しく短いという申し出は認められるの

     

     A あくまで個別ケースごとに判断することになるが、例えば、2024年4月1日から建設業にも適用される改正労働基準法に基づく時間外労働の罰則付き上限規制に違反するような労働時間を前提として設定された工期は、注文者と受注者が合意したとしても、著しく短い工期と判断される。

     

     また、工期の変更契約にも著しく短い工期による請負契約の禁止規定は適用される。「前工程の遅れを後工程の作業期間を短くすることでカバーさせられるような契約変更により、長時間労働が生じた」といったケースが想定される。

     

     Q どの社会保険に加入させれば、許可要件を満たす

     

     A 適切な社会保険への加入が建設業許可・更新の要件となった。加入すべき保険は「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」などを参考にすれば事業所の形態や常用労働者数に応じて確認できる。例えば、個人事業主では常用労働者が5人以上の場合、3保険(雇用・医療・年金)への加入が必須だが、1-4人の場合は雇用保険のみ加入が必要となる。

     

     Q 監理技術者の専任緩和をどう生かす

     

     A 現場の専任が義務付けられている監理技術者について、実務経験と知識を持ち、監理技術者を補佐する者を専任で現場に配置することで、2現場の兼務が可能となった。補佐者として想定されるのは、同法改正による技術検定試験の再編(21年4月1日施行予定)で新設する技士補制度のうち、1級技士補で主任技術者の資格を持つ者だ。

     

     技術検定制度の再編では2級技士の合格後、実務経験を経ずに、1級1次検定が受験可能となった。例えば1級1次検定に合格した者を技士補として監理技術者の下で現場専任で活用。技士補として実務経験を積ませた上で、1級2次検定を受験し、1級技士になるイメージだ。

     

     若手社員にとっては技術者としてのキャリアパスが明確になり、企業としても1現場に1人と固定されていた監理技術者の兼務が可能となることで、人員配置を柔軟に行うことが可能となる。

     

    Q 経営業務管理責任者は誰ならいいの

     

     A 建設業経営に関する過去5年以上の経験者が役員にいないと許可が得られないとする規制を改め、事業者全体として、適切な経営管理責任体制を有しているかどうかを判断する体制へと見直した。具体的には、その会社で5年以上の財務管理、労務管理、業務運営のいずれか(兼務可)に携わっている者を補佐として配置することで、経営を担う常勤役員に求める「経営経験」または「対象業種」を緩和する。

     

     「経営経験」については、5年とする建設業経営に関する役員経験を最低2年に短縮。残りの3年については、役員に次ぐ地位(建設業の財務管理、労務管理、業務運営の担当に限る)の経験で満たすものとする。

     

     「対象業種」の緩和では、建設業以外の他業種の経営担当の役員の5年以上の経験を認める。

     

     従前の5年以上の建設業に関する経営業務の管理責任者経験も能力を有するとして認められる。建設業の種類ごとの区分は廃止し、どの種類でも建設業経営の経験として取り扱う。

     

    Q 継承制度にはどんなメリットがある

     

     A 新たに建設業許可の事前認可制の事業承継の規定を整備した。従来は建設業者が事業の譲渡、会社の合併・分割をした場合、譲渡・合併・分割後の会社は新たに建設業許可を取り直す必要があり、許可の空白期間が生じていた。

     

     新制度では、事前に許可行政庁に申請して認可を受けることで、事業譲渡の日に建設業許可についても同時に継承できる。許可期間は、事業譲渡の日に継承先(存続会社)がもともと保有していた許可も含めて有効期間が更新される。

     

     注意が必要なのは、同一業種の許可について、継承先と継承元(消滅会社)が一般・特定の区分が異なる許可をそれぞれ保有しているケースだ。一般・特定区分が異なると承継の対象外となることから、一般区分を事前に廃業することで、継承が可能になる。

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    掲載日: 2020年10月1日 | presented by 建設通信新聞

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