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フォーカス・全建ブロック会議 CCUS議論が白熱
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【先行き不安も改善策提案/本音で議論、普及促進へ前進】
全国建設業協会(奥村太加典会長)の2020年度地域懇談会・ブロック会議は、関東甲信越、近畿の2地区を終えたばかりだが、建設キャリアアップシステム(CCUS)に関する議論が既に白熱している。利用者である各建協は今後のシステム運営、普及促進に対して不安を抱きつつも、具体的な改善策を提案。一方、国土交通省は運営悪化に伴って生じた混乱への責任を認めた上で、メリットの明確化を含め、より使いやすいシステムを目指すと明言する。利用者と運営者の関係性には距離感がみられるものの、全国9地区で繰り広げられる本音の議論を通じて両者の認識共有、関係改善が期待される。
関東甲信越地区のブロック会議の冒頭、国交省の天河宏文不動産・建設経済局官房審議官は「先ほどの会議(地域懇談会)でCCUSに対して厳しい意見をいただいた。これまで生じさせた混乱をおわびするとともに、料金改定と出捐金を了承していただきお礼を申し上げる」と謝意を表した。
地域懇談会でシステム運営側に向けられた厳しい意見の大半は、CCUSの財源状況に関して定期的な報告がなく、運営が悪化した経緯が十分に把握できないにもかかわらず、「料金の引き上げ、開発費用の追加負担ありき」とも取れる“一方通行の要請”に対する利用者側の反発だった。CCUS運営協議会総会で料金改定が承認され、全建として出捐金を容認する方針を固めた中で、ある建協の幹部は「蒸し返すようなことは言いたくないが、各建協に(運営側の)相応の責任者がきっちりと説明すべきだった。これ以上の混乱を避けるためにも(運営側の責任について)言及せざるを得なかった」との胸の内を明かす。裏を返せば、システム運営の責任者に直接本音をぶつけることで、財源問題に区切りを付け、普及促進に踏み出したいとの思いが見え隠れする。
近畿ブロック会議で、大阪建設業協会は「建設業が持続可能な産業となるために必要不可欠な制度インフラであることは十分理解している」と、利用者側の共通認識を代弁した。システムメリットの一端として、建設技能者の就業履歴の蓄積と公的な証明、カードタッチによる建設業退職金共済の掛け金納付を紹介しつつ、事業者・技能者登録数やカードタッチ数が想定を大きく下回った要因を「将来のメリットよりも、現在のメリットを求める傾向が高齢技能者になるほど高く、具体的な賃金アップの道筋も示されてない」と分析した。
その上で「このままでは登録数の劇的な増加は望めない」とし、「これまで漠然としていたロードマップを抜本的に見直し、具体的なメリットを見える形にした上で、技能者にとって分かりやすい詳細工程と実施手順を示す必要がある」との考えを示した。賃金水準改善の観点から、技能者の技能レベルに合わせた設計労務単価の政策的モデルの作成を提案した。
国交省はこれに対し、「CCUS運営協議会で事業者、技能者双方にとっての手続きの簡略化、利便性の向上を議論していく。使いやすいシステムとなるように努める」と説明した。レベル別の賃金については「一部の専門工事業団体で目安を設定しているが、個々の契約にどうやって反映するかを考えていきたい」と前向きな姿勢を示し、「システムの利用促進のため、事業者・技能者登録、タッチ数の拡大が図られるように、一緒に(システムを)育ててほしい」と呼び掛けた。
近畿建設業団体協議会の幹事である兵庫県建設業協会の松田隆会長は国交省に対して「利用者に周知し、理解、納得が得られるように先導してほしい」と力を込めた。
CCUSの運営は、登録・タッチ数が拡大すればメリットが明確化し、メリットが明確化すれば登録・タッチ数が拡大するという、明確な相関関係にある。サスティナブルなシステムを実現するには、利用者と運営者の協働が求められる。
残り50%掲載日: 2020年10月13日 | presented by 建設通信新聞