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  • 多様な価値観、余裕を内包/コロナ後の社会・インフラで提言/建コン協インフラ研

    【財源、技術者の姿勢も言及】

     

     建設コンサルタンツ協会のインフラストラクチャー研究所(酒井利夫所長)は、コロナ後の「新しい社会」とこれを支えるべき「社会インフラ」のあり方について、社会インフラに関わる技術者の姿勢を含めて考察した成果を中間報告としてまとめた。今回のコロナ禍で顕在化したさまざまな問題の背景にある、利益・効率第一主義などの価値観の転換が重要だと強調した上で、不確実な外力に対する余裕(ゆとり)を持った社会など、多様な価値観を前提とした新しい社会を支える今後の社会インフラを実現するため、経済効率性以外の多様な価値評価の方法論を改善・進化させることやスマート化・デジタル化の積極活用、長期的な視点からの財源確保が必要だと提言した。

     

     中間報告では、自然や医療福祉、文化教育、地場産業などを含む地域の価値観・特性などを「社会インフラ」と捉え直し、それぞれの地域ごとに公共と民間の役割分担を含めたあり方を総合的に検討すべきと指摘。その上で、「人中心で誰もが豊かに暮らせる社会」実現の重要なキーワードとなる「適度な分散」推進の受け皿となる地域づくりや、分散によって生じる空間的・時間的「余裕」の新たな価値としての評価と利活用、社会に対する不確実な外力に対してのリダンダンシーなど一定の安全性を確保するための余裕を社会インフラそのものにビルトインした交通や通信、エネルギーなどのネットワークの充実強化、時代や社会環境の変化に合わせた適切な更新や制度などのソフトインフラの進化、激甚化する自然災害や疫病に対しても安全安心な社会を支えるための考え方を再整理した「新・国土強靱化計画」の策定が必要と提起した。

     

     その実現に向けて、社会インフラ事業の評価では、経済効率性以外に存在するさまざまな重要な価値要素を評価する方法論を改善・進化させることや、加速度的に進化するデジタル技術などの最大限の利活用、必要な財源の調達について、税のあり方、PFI・PPPのあり方を含め、より広範な視点から全世界の英知を集めて調査研究を進め、早期に実装するべきだとした。

     

     社会インフラに関わる技術者の姿勢にも言及。社会全体を見渡せるトータルコーディネーター的視点を持って自らの専門技術に磨きをかけつつ、自信と誇りをもって説明責任を果たしていくべきだとした。

     

     これらの提言は、建設コンサルタントにとどまらず、官公庁を含め社会インフラに関わる技術者ができることは何か主体的に考え、行動することが必要として、酒井所長ら同研究所有志が石田東生筑波大名誉教授の助言を受けながら自主研究として考察を重ねた。今回、中間報告として公表して議論を喚起するとともに、さまざまな意見や指摘を取り込む形で最終報告をまとめる考えだ。

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    掲載日: 2020年10月22日 | presented by 建設通信新聞

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