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東日本大震災発災10年/どうなる? 復興係数・復興歩掛/地元から継続求める声/東北の実情踏まえた対応を
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>東日本大震災の発災から10年を前に、岩手・宮城・福島の被災3県に適用してきた復興係数・復興歩掛かりの取り扱いに注目が集まっている。国を中心に2020年度内での復旧完了を見込んで事業が進捗しており、災害に起因する施工効率の低下などに改善が見られれば、東北での復興係数などの措置は役割を終えることになる。一方、地元業界からは自治体の状況などを理由に措置の継続を求める声が上がっている。
復興係数は、工事量の増大に伴う資材やダンプトラックの不足により作業効率が低下し、直接工事費だけでなく間接工事費についても現場の実支出が増大したことから、運搬費などの共通仮設費と労務管理費や安全訓練費などの現場管理費を補正した。
岩手、宮城、福島の3県を対象に14年2月から共通仮設費を通常の1.5倍、現場管理費を1.2倍としてきた。
作業効率の低下に対応した復興歩掛かりは13年10月から適用を開始。岩手、宮城、福島の被災3県では日当たり標準作業量を土工で20%、コンクリート工で10%、それぞれ低減する補正を設定している。
ことし1月の復興加速化会議で国土交通省が報告した進捗状況によると、復興道路・復興支援道路の74%が開通、河川堤防の87%が完成、港湾防波堤はすべてが復旧を終え、20年度内に復旧が完了するとしている。
20年度までの復興・創生期間内でのハード整備の完了を目指してきた経緯がある一方で、特例措置の継続は地域の実情を踏まえて判断してほしいとの声が上がっている。
9月28日の全国建設産業団体連合会の全国会長会議では東北3県の各連合会から、「東日本大震災における被災地特例の継続」についての要望が出された。新型コロナウイルス感染症の影響により自治体関係の工事は年度内完了が困難であるとされ、依然として現場の繁忙が続いていると指摘。加えて、事業終盤はより困難で効率の悪い、手間のかかる現場環境となっていることから、実態に即した積算体系や係数化などの被災地特例の継続を求めている。
事実として、6月に宮城県の村井嘉浩知事はコロナの影響を受け、「3密を回避するために(復興)工事がやや遅れてしまっている」ことを明らかにした。「もともと20年度内にすべての工事を完了させるのは難しいが、明許繰越、事故繰越まですればすべて終わらせられるようにということで、20年度中に事業は全部盛り込んだ。コロナの問題がうまく収束していけば、事故繰越を含めてすべての事業を完結することは大丈夫だろうと思っている」との認識を示している。
こうした状況をみると、21年度以降も一部の復興事業は継続して実施されることが見込まれる。28日には東北建設業協会ブロック会議の開催も控えている。単純な計画期間だけはでなく、施工の実態調査の結果や地元の声なども含めて総合的な判断が求められている。
残り50%掲載日: 2020年10月26日 | presented by 建設通信新聞