当サイトについて 採用ご担当者様
会員登録はこちら 求人検索

建設技術者向けNEWS

建設技術者の方が知りたい情報を絶賛配信中
会員登録いただくと無料で閲覧可能です!

  • スコープ/異なる職種の連携で新技術開発/破砕瓦を水道工事埋め戻し材に

     ◇利根沼田テクノアカデミー、省力化研修きっかけ

     

     職種の異なる専門工事会社が連携して新たな技術が誕生した。リサイクルが課題とされる破砕瓦(シャモット)を水道工事の埋め戻し材として使用するというアイデアを具体化。液状化が懸念される地域で高い効果が見込めるとして、愛知県津島市内の住宅建設現場で水道管を引き込む分水工事に初めて適用した。再生砕石より軽く、作業員の負担を軽減できるなどのメリットも期待できるという。(編集部・岩本英司)

     

     シャモットを出荷するのは、同県を拠点に瓦施工を手掛けるマツザワ瓦店(名古屋市中川区、松澤考宏社長)。グループ会社が東浦町で運営する工場で三州瓦を施工現場用にプレカットした際に出る端材を細かく砕き、菅原設備(津島市、菅原直樹社長)が水道工事を手掛ける現場に運び込み、住宅に水道を引き込む管を敷設した時の埋め戻し材として用いる。

     

     水道工事の埋め戻し材にシャモットを使用するアイデアは、松澤、菅原両社長が参画する職人育成校の利根沼田テクノアカデミー(群馬県沼田市、桑原敏彦校長)で生まれた。旧利根村に所在する廃校校舎を利用するアカデミーでは、「瓦」「建築板金」「大工技能」「設備技能」という四つのコースがあり、このうち瓦を松澤氏、設備技能を菅原氏がそれぞれ担当し人材を育成している。

     

     入職1年目の若手と外国人技能実習生を主な対象とするアカデミーには、1コース3カ月に及ぶ訓練の中で現場省力化研修という商品開発につなげる授業がある。

     

     現場作業の効率化につながるアイデアを瓦コースと設備技能コースの訓練生が出し合う中、菅原設備所属の1人の訓練生が校庭の水はけを良くしようとまかれていたシャモットに着目。「水道管を敷設した時の埋め戻し材にも使えるのではないか」と発言したことがきっかけとなり、両社コラボレーションによる取り組みが始まることとなった。

     

     愛知県は、日本三大瓦の一つである三州瓦の産地。製造に伴い大量に発生する廃材をいかに再利用するかは、以前から大きな課題とされてきた。マツザワ瓦店でも試行錯誤を重ねており、赤茶色を生かした外構工事、庭に芝生を植える時にまいておくなど、さまざまな取り組みを進めてきた。

     

     破砕瓦を巡っては、国土交通省の「港湾・空港等整備におけるリサイクルガイドライン」(12年3月一部改定)でリサイクル材料に追記されたこともあり、関心が高くなっていた。

     

     そうした経緯も踏まえて始まった両社による取り組みでは、径の大きさに応じて4種類に破砕されるシャモットの配合にも工夫を施しながら、埋め戻し材として効果のある材料となるよう検証を重ねてきた。

     

     初適用となったのは、菅原設備が創業時から工事を受注している住宅メーカーのウッドフレンズ(名古屋市、前田和彦社長)が津島市で進める住宅建設現場。水道管を敷設した箇所を山砂で覆った上に、現場へ運び込まれたシャモットを小型バックホウを用いながら、20センチの厚さで敷設。転圧をかけてさらに40ミリ径の再生砕石(RC40)を17センチ厚、さらにその上にアスファルト舗装を3センチ厚で敷きならして作業は完了した。

     

    残り50%
    ログインして続きを読む 会員でない方はこちらよりご登録ください

    掲載日: 2018年2月20日 | presented by 日刊建設工業新聞

前の記事記事一覧次の記事