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  • 建設論評・コロナを言い訳にせず

     昨年12月中国武漢発の新型コロナウイルスは、わが国ではやや収まってきたのかどうか、政府の緊急宣言解除、東京都の最高レベルの警戒レベル引き下げは久しい。しかしまだ、新規感染者、死亡者は相当な人数で推移している。効果的なワクチンが普及するまで終息にはなるまいと思われる。

     

     政府、地方自治体はなけなしの金を配り、経済の維持回復に努めている。例えば中小企業には持続化給付金、家賃の補助など、どう見ても省庁単位で思いつきそうなものが競って出ている。今回ばかりはこれがありがたいという経営者は多い。第一、審査が早い。条件が緩い。これがどれほどありがたいか。資金繰りに困る中小企業には干天の慈雨であり、余裕のある企業には良き小遣いで、ゴルフ代に化けたところも少なくはないと聞く。ゴルフ場には客が戻り、ゴルフ好きは元気を回復して会社の経営に力が入ればそれで良いと考える。

     

     問題は、コロナを経営悪化の言い訳にしている場合である。すなわち、業績悪化をコロナのせいにして経営責任をまぬがれようとすることである。確かにコロナによる需要減、生産力の低下はあるが、それはわが国の経済単位、あるいは建設という産業単位の話であり、個々の企業単位で必ず同じ傾向にならねばならないということはない。統計上は、建設工事の受注を前年同月と比べると2020年の3月17.9%減から8月4.2%減まで各月前年比減が続いている(国土交通省『建設工事受注動態統計調査報告』)。このあたりはコロナの影響とみていいだろう。しかし、個々の企業の動きは別である。この影響をまともに受け統計数字よりも悪化させている半面、受注を落とすことなく利益を上げている会社もある。あるいはこの機に乗じて、他社が控え加減の人材採用に成果を上げている会社もある。

     

     わが国では昨年からことしにかけて、各地で災害が多く、それは不幸なことであったが、建設業界は忙しい思いをしたところが少なくない。日ごろから不足気味の従業員を動員し、何とか復旧をやり終えたところはそれなりの売り上げを確保したものと思う。しかし、それも日ごろから施工能力に配慮をしてあったから可能であったもので、必然である。

     

     一方、地球の温暖化によって気候はますます荒れ模様になるという予測が現実化していけばいざという時に対応できる建設業者にはそれはチャンスであり、地域に対し貢献する機会ともなる。もちろん、いつ、どこに自然災害が起こるかは正確な予測ができないことであり初めから経営の予測内に入れておくのは難しい。しかし考えてみれば、予測困難なことは何時でもあったはずであり、決算時にそれを言い訳の種にしているところが少なくないのは残念である。

     

     コロナ禍を自然災害並みに考えることには無理があるが、これを経営上の予測困難な課題の1つに過ぎないととらえることのできる企業は、決して言い訳の種にはしないはずである。コロナ禍をチャンスとしてとらえ、経営のかじ取りをしたいものである。 (三)

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    掲載日: 2020年11月4日 | presented by 建設通信新聞

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