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連載・混迷の先へ・建築設計事務所◆15◆松田平田設計 江本正和社長
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【“最適解”紡ぐ総合力高める/「優良なる社会資産の創造」永続へ】
松田平田設計の基本理念である「優良なる社会資産の創造」を永続させるための財務体質強化に力を注ぐ。「目先の売上競争や事務所の規模拡大は目指していない」。同社の江本正和社長は、利益追求型とは一線を画し、設計事務所の本質の強化に重きを置いた経営スタイルを貫く。SDGs(持続可能な開発目標)への対応を本格化するため、7月には「先端技術推進室」を設置。環境、BIM、木質化への取り組みを推進し、未来につながる最適解を紡ぎ出す総合力を一段と高める。
前期(2020年6月期)は増収だったが、「数値自体に意味はない」とし、「建物の寿命は設計者が働く期間よりもずっと長い。作品の竣工後のメンテナンスや、その先の活用に責任を持つためにも、設計事務所には存続しなければならないという社会的使命がある」と強調する。
使命を果たし続けるために実践してきた、キャッシュフロー経営を軸とした財務体質強化は成果を出しつつある。新型コロナウイルスの影響により、予定していた受託案件の先送りなどがいくつか発生しているが、「身の丈に合った仕事量があり、その一つひとつの原価管理がしっかりできていれば、円満な決算になることは、経験上分かっている」とした上で、「これまで何度も危機を乗り越えてきた。売上高の上がり下がりには一喜一憂しない」と、本質の強化に重点を置く。
コロナ禍の中で現在、週1日の在宅勤務や時差出勤などを実施している。リモートワークについては、担当者同士のプロポーザル資料のやりとりや、ウェブでの打ち合わせなどによる業務への支障は出ていない。
一方、「ウェブを活用した打ち合わせに積極的な自治体と、そうではない自治体がある」など、発注者の対応にはばらつきが見られる。今後は、リモート向きの業務などを精査した上で、新たな働き方のあり方を探っていく。
「個人が会社に従属するという体制とは一線を画した、引き継がれたDNAがある」。パートナーの1人である平田重雄が提唱した「フリーアーキテクトの集い」の精神を継承し、独立した一人ひとりの所員がマインドを高め、より想像力を発揮できる環境整備を進める。
SDGsへの対応やESG(環境・社会・企業統治)経営も推進する。「30年以上前から技術を磨き、ノウハウを蓄積してきた」という環境分野では、設計段階で建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)の「Nearly ZEB」と「最高ランク☆☆☆☆☆」の認証を庁舎として全国で初めて取得した神奈川県開成町新庁舎の実績などを生かし、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)で攻勢をかける。
ESGへの取り組みでは、19年12月に東京・元赤坂の本社ビルが建築環境・省エネルギー機構(IBEC)の建築性能評価制度「CASBEE-ウェルネスオフィス(WO)」で最高の「Sランク」を取得しており、今後も健康性、快適性に優れた環境づくりを目指す。
残り50%掲載日: 2020年11月5日 | presented by 建設通信新聞