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  • 民意反映が最も本質/インフラ整備の方向性示す/土木学会家田会長

     土木学会の家田仁会長は10日、東京都新宿区の土木学会本部で報道機関懇談会を開いた。財政制度等審議会(財政審、財務相の諮問機関)が主張する「社会資本が概成しつつある」「予算規模の量的拡大の抑制」に対し、「納税者は国民であり、社会インフラの最大のユーザーは国民である」以上、社会資本整備の方向性は「国民の了解、理解に基づいて決定していくことが最も本質的」との考えを示した。

     

     家田会長は「財政状況が健全であることは重要」と前置きした上で、「すべての国民は毎日必ず社会インフラを利用する。このような(国民共有の)財産はほかにない。頻発・激甚化する自然災害を含め、多くの国民がインフラや国土というものに強い関心を持っている」とし、インフラ整備のあり方には民意を反映すべきと強調した=写真。

     

     防災・減災の観点から「迅速に対応しなければならないハード対策もあるが、公助の下、国民の自助、共助が最大限発揮できるようなソフト対策も不可欠」と加えた。

     

     一方「根拠もなく、社会インフラが概成した、あるいはまだまだ足りないという考え方(の発信)は国民に対して誠実ではない」とくぎを刺し、土木学会では数年をかけて「国内インフラの実力診断を実施する」ことを明かした。

     

     実力診断は、既に取り組んでいるインフラの健康診断などのほか、体力測定に新たに着手する。具体的には「初弾として道路、河川、港湾施設の整備水準などを調べ、水平展開(整備量の拡大)と垂直展開(質の向上)を国際比較する」という。先入観を持たずにインフラの現状を理解してもらうため、「そのデータを国民と共有する」と説明し、その効果に期待を寄せた。

     

     また、社会インフラの理解促進に向けて「パートナー制度」を創設する。「2020年度内にインフラなどに関連する5-10団体と協定を結び、情報交換・発信体制を強化する」方針だ。

     

     会長自身が「3つの危機」として挙げる、世界での「日本の存在感」「日本の技術やシステムの先進性」「日本の勤労者のモチベーション」に関しては、海外インフラ展開の戦略的推進がマーケットの創出、技術研さんなどで「契機になり得る」とみる。さらに「働き方だけでなく、働きがいの改革も必要」とも。

     

     インフラメンテナンスは「隠れたマーケット。従来の契約制度や体制を打破することで市場構造が変化していく」とし、インフラメンテナンス総合委員会で「メンテナンスするために新設がある」という逆転の発想や、ビジネスとしての可能性などを盛り込んだ提言をまとめる。

     

     豪雨災害対策総合検討会では、洪水ハザードマップの実効性を高めた「多段階リスク明示型浸水想定図(仮称)」の作成を始め、流域治水の具体策を提案する。

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    掲載日: 2020年11月11日 | presented by 建設通信新聞

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