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上場大手4社21年3月期第2四半期決算まとめ/受注環境厳しく全社建築減/通期進捗率は3割
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>上場大手ゼネコン4社の2021年3月期第2四半期の決算が出そろった。建設需要が端境期となり4社すべてが減収となり、鹿島を除く3社が減益となった。ただ、過去着工分における新型コロナウイルス感染拡大の国内の影響は限定的で、海外でも一定の影響にとどまった。一方で、受注環境は厳しく、建築の受注高が4社いずれも前年同期を下回り、通期予想に対する進捗率も3割程度となった。下期にかけて巻き返しが必要になるため、国内建築を中心とする競争のさらなる激化が予想される。
21年3月期第2四半期の連結決算のうち、売上高は前期に複数の大型物件が竣工するなど好調だった反動で4社いずれも前年同期を下回った。コロナ禍で北米やアジアの工事中断が長引いた影響も表れた。利益面では「着工後すぐの案件が多く、利益が積み上がりにくい環境」(大林組)で3社が減益となった。増益となった鹿島も「東京五輪直前の完成を目指していた案件が多く、利益を積み上げられた」としつつ、下期にかけて着工後すぐの手持ち工事が増え、通期の減益予想を維持した。ただ、手持ち工事の結果としての売上・利益の減少は想定された範囲で収まったと言えそうだ。
一方、受注環境は厳しい。受注高は3社が前年同期を下回り、特に建築は4社いずれも前期比減となった。全体で前期比増となった清水建設も「土木工事の発注が比較的前倒しで進んだ」と、土木の増加が作用した。
特に国内建築は、コロナ禍による契約手続きの遅れや投資意欲の減退などが直撃し、「経年的に第2四半期国内建築受注は4500億円前後が続いていたため、4000億円程度の顧客基盤はあると思っているが、今第2四半期は3000億円を下回るなど受注環境はかなり厳しい」(清水建設)とする。「都心部のランドマーク的な案件では競争が厳しい状況が続いているが、全体として特別に競争が厳しくなっている訳ではない」(大林組)という声もあるものの、「新規案件のコストを含めた競争環境は厳しい」(大成建設)、「国内建築の競争が激しくなっている」(鹿島)ことはおおむね一致した認識となっている。
こうした中で、各社は通期の受注工事高予想を見直しておらず、国内建築の通期予想に対する第2四半期の進捗率は、大林組が26.3%、鹿島が28.8%、清水建設が35.9%、大成建設が29.1%となり、下期にかけて巻き返しが必要になることから、さらなる競争の激化が予想される。
土木の市場は堅調なため、建設市場全体として急激な受注環境悪化は考えにくいものの、建築の競争が激化すれば先行きの完成工事総利益(粗利)率は「15%程度というこれまでの水準が切り下がった形で落ち着くのではないか」(清水建設)、「工事原価が想定より下がっていないため、原価が下がらなければ利益が圧縮される可能性もある」(大成建設)と低下基調に入る見込みだ。こうした中で各社は、「かつてのような過度な価格競争はどうしても回避しなければならない。提案力や技術力で受注時利益を確保していきたい」(鹿島)という思いを持っているとみられる。
残り50%掲載日: 2020年11月12日 | presented by 建設通信新聞