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  • 工事写真“レイヤ化”へ移行/日建連が活用ガイド

    【注釈機能で生産性は電子小黒板超え】

     

     国土交通省の「デジタル写真管理情報基準」改定を受けて、工事写真のデジタル化は電子小黒板から、マーカーや図形、テキスト、寸法線などを自由に書き込める注釈機能をあわせ持った「レイヤ化(複数の画像を重ねて配置する)」へと移行する。レイヤ化工事写真は、電子小黒板と同等の使いやすさを確保しつつ、機能を拡張しているため、電子小黒板以上の生産性向上が見込まれる。また、基準改定によって工事写真のあり方はさらに進化する可能性をはらんでおり、建設業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進への寄与が期待される。

     

     2017年2月から導入され始めた電子小黒板は使い勝手の良さと現場作業の効率化を利点とし、現在では多くの現場に普及している。ただ、工事写真の改ざん防止の観点から黒板利用者がマーカーや図版などの補助情報を加えることができず、生産性向上の側面で頭打ち状態になっていた。

     

     ことし3月のデジタル写真管理情報基準改定では、写真ファイルの記録形式を「JPEG」に限定せず、「日本産業規格(JIS)に示されるJPEGやTIFF形式等」に拡大しており、SVGファイル形式による「レイヤ化」が認められた。

     

     レイヤ化工事写真は「電子小黒板レイヤ」と「写真(背景)レイヤ」で構成する電子小黒板の機能に、「注釈レイヤ」を追加している。注釈レイヤにはこれまで認められていなかったマーカーや図形、テキスト、寸法線などを自由に書き込めるため、現場作業だけでなく、受発注者の情報共有のさらなる効率化につながるとみられる。

     

     例えば、配筋検査写真ならマーカーとしてカラーマグネットなどを鉄筋に貼り付けて撮影するが、注釈レイヤ機能を使用することでこの作業が省略できる。

     

     使用方法は電子小黒板をベースとし、操作性に大きな変化はない。電子小黒板レイヤと写真レイヤは、これまでと同じく改ざん防止機能が組み込まれており、編集はできない。一方、注釈レイヤは改ざん防止機能が不要なため、追記や削除が可能となっている。

     

     現段階でレイヤ化工事写真のソフトウェアを取り扱うベンダーは、建設システムだけだが、現場サポート、MetaMoji、福井コンピュータ、ワイズも21年内にリリースを開始する予定だ。

     

    ◆普及促進へ周知

     

     日本建設業連合会(山内隆司会長)の土木工事技術委員会土木情報技術部会情報共有専門部会は、『変わる!工事写真』を主題とした施工者のための工事写真レイヤ化活用ガイドを作成した。レイヤ化工事写真の普及促進に向けて会員企業への周知を図るが、「建設業全体の生産性向上の観点から会員以外の建設企業にも本ガイドを利用してほしい」(同部会の杉浦伸哉氏)考えだ。

     

     同ガイドにはレイヤ化の効果と注意点、電子納品への対応などを記載している。このほか、基準改定に伴う「動画のファイル形式については、監督職員の承諾を得た上で使用する」との文言を踏まえ、今後の展望として「今後の工事写真のあり方が大きく変わることが予想される」と言及。将来的に施工状況写真が動画や全天球カメラ画像に置き換わるとともに、多眼カメラや3Dスキャナーによる出来形写真との連携で「撮影と同時に計測が行われ、撮影という行為は検査を実施することと同意義になる」とみる。

     

     土木情報技術部会の今石尚部会長は、基準改定を「大きな規制緩和」と捉え、「ソフトが開発されていないので動画を使用するまでに至っていないが、ユーザーが(規制緩和と)上手に付き合っていくことで建設業の生産性向上、DXはより加速していく」と期待を寄せる。

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    掲載日: 2020年11月16日 | presented by 建設通信新聞

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