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川辺川ダムで蒲島熊本県知事/流水型ダム 国に要望/民意受け「命と環境両立」
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>熊本県の蒲島郁夫知事は19日、県議会全員協議会で、2020年7月豪雨で甚大な被害を受けた球磨川流域の今後の治水の方向性について、川辺川へのダム建設の容認を表明した。民意を「命と環境の両立」と受け止め、特定多目的ダム法に基づく現行の貯留型の川辺川ダム計画の完全な廃止と、環境に配慮した新たな流水型のダム建設を国に要望する。20日に赤羽一嘉国土交通相と会談し、今回表明した治水の方向性を説明する。
河川整備だけでなく、遊水地の活用や森林整備、避難体制の強化を進め、自然環境と共生しながら流域全体の総合力で安全・安心を実現していく「緑の流域治水」を打ち出し、その1施策として洪水時には確実に水をため住民の命を守り、平時には流れを止めずに清流を守る「新たな流水型のダム」を整備する構想だ。
環境への配慮が十分かを客観的、科学的に評価するため、国には「法に基づく環境アセスメント、あるいはそれと同等の環境アセスメント」の実施を求める。また、県や流域市町村だけでなく流域住民も一体となって、事業の方向性や進捗を確認していく仕組みを構築する。
蒲島知事自身による08年の川辺川ダム計画の白紙撤回からの方針転換となる。蒲島知事は「民意を突き詰めた時、これまでの『ダムか、非ダムか』という二項対立を超えた決断が必要」「ダムの効果を過信することはできないが、被害防止の確実性が担保されるダムを選択肢から外すことはできない」と説明した。
また、決断について「100年後の球磨川流域、さらには熊本県にとって、必要不可欠なものであったと振り返る日が来ることを確信している」とし、「緑の流域治水」は、「日本の災害復興をリードする新たな全国モデル、いわば『球磨川モデル』として、必ずや球磨川流域の創造的復興を成し遂げる」と意欲を示した。
7月豪雨の流域被害を受けて国・流域市町村で設置した「令和2年7月球磨川豪雨検証委員会」は、仮に川辺川ダムが存在した場合、人吉地点の市街地の浸水範囲を6割程度減少させることを確認した。その後、蒲島知事は、被災住民や地域団体、市町村長、有識者などに直接会い、復旧・復興や治水の方向性について意見や提案を聴取し、治水の方向性を検討をしてきた。今後、具体策の検討を進める方針。
残り50%掲載日: 2020年11月20日 | presented by 建設通信新聞