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  • フォーカス・成長戦略/矢面に立つ中小企業の生産性/柱は“デジタル化”“規模拡大”/働き方改革で建設業の指標悪化

     菅政権が打ち出す「足腰の強い中小企業の構築」が柱の1つである成長戦略議論で、中小企業の労働生産性が矢面に立たされている。さらに建設企業の場合、これまでの長時間労働の是正による就業者1人当たり就業時間の短縮拡大が、政府議論の指標として挙がっている「労働生産性伸び率(時間当たり労働生産性と1人当たり就業時間の合算)」の足を引っ張りかねない。結果的に2024年4月から適用される「罰則付き時間外労働時間の上限規制」への対応に苦慮する中小建設企業にとって、新たな成長戦略の動向は無視できない状況だ。

     

     19日の成長戦略会議後の会見で、西村康稔経済再生担当相は「大前提は中小企業の淘汰(とうた)をしていくことではない」と前置きした上で、中小企業の労働生産性向上のシナリオとして「デジタル化と規模拡大の2つ」を柱として挙げた。

     

     また戦略会議で「最低賃金の引き上げ」について、「労働生産性を高めてから行うか」と「最初に引き上げればイノベーション普及は後から起こる」の意見対立について、西村担当相は「年末の中間まとめで大きな方向性は出せる」と議論集約に自信を見せた。

     

     ただ政府が中小企業政策のかぎとして打ち出す生産性向上指標の「労働生産性(就業者1人当たりGDP)伸び率」は、中小建設企業にとって向上を示すにはなかなか難しい指標だ。労働生産性伸び率は、就業者1人当たり就業時間伸び率と時間当たり労働生産性伸び率の合算。国際比較で日本の労働生産性伸び率が12年から19年の平均成長率で年0.2%とG7の中で2番目に低いのは、就業者1人当たりの就業時間が短縮したことが要因だ。

     

     もともと長時間労働が特徴だった建設業の場合、生産性向上を進めても労働生産性指標が向上しないことなども理由に、先行して生産性向上をけん引する日本建設業連合会は16年、生産性の定義を「生産物量1単位当たりの労働者数」または「労働者1人日当たりの生産物量」(物的労働生産性)として生産性向上の取り組みを進めてきた経緯がある。

     

     建設業界では、デジタル化だけでなく書類削減など業務効率化を進めることで、長時間労働是正を進めており、労働生産性だけではない建設産業界の生産性向上について理解を得てもらう必要もありそうだ。

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    掲載日: 2020年11月24日 | presented by 建設通信新聞

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