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仕組みと仕掛けの構築重要/土木学会 土木の日シンポ/“市民普請”で地方蘇生/土木人とともに良い国土つくる
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>土木学会(家田仁会長)は21日、11月18日の土木の日に合わせて「土木の日シンポジウム」をオンラインで開いた。今回は「“市民普請”で地方をよみがえらせる-市民主導の新しい公共事業の仕組みを考える-」がテーマ。コロナ禍の影響で「都市から地方へ」の流れがより明確化し、持続可能な地域づくりを実現する考え方・手法である「市民普請」に対する期待が大きくなる中で、国内外の先進的な事例を共有するとともに、今後の可能性を展望した。
冒頭、土木学会理事(土木広報戦略会議土木の日実行担当)で、国土交通省の東川直正官房技術審議官は「市民普請が秘める可能性に対して理解を深めていただきたい」とあいさつした。
家田会長は「土木工学を学んでいなくても、研究していなくても、国土とインフラを愛し、(生きていく上での)楽しみの源泉とする者は総じて土木人と言える。われわれはこうした人々とパートナーを組んで、より良い国土を形成していきたい」と、土木学会が掲げる市民普請、市民との新たなパートナー展開の狙いを説明した。
続いて、土木学会土木広報センター市民交流グループの中村圭吾市民普請グループリーダーが市民が主導的な役割を果たしながら、地域を豊かにするための公共事業の仕組みである市民普請の意義を解説した。
その後、日本上流文化圏研究所の上原佑貴氏は「中山間地域において中間支援組織が持続可能な地域づくりに果たす役割について」、長野県下條村の宮島俊明副村長が「下條村における建設資材支給事業の可能性について」、武田晋一拓殖大准教授が「タイにおける民間資金を活用した市民普請による舗装事例」と題し、それぞれ講演。中間支援組織、行政、海外での市民普請に関する具体的な取り組みを報告した。
最後は3人の講師陣に、徳永達己拓殖大教授と真田純子東工大准教授を加え、パネルディスカッションを実施。中村氏がコーディネーターを務めた。
市民普請が機能し、持続可能な地域づくりを推進する前提として、「行政の役割は先導することでなく、住民の(市民普請に対する)自主性を喚起し、バックアップすること」(宮島氏)、「(過疎化の進む)町の住民だけでは道普請、町普請に限界があり、外部を巻き込むことが不可欠だった。外部の人々と町民をつなぐのが中間支援組織の役割」(上原氏)、「(タイ東北部の)ノンコー村は、出稼ぎのために(自国以外の)高規格道路などの整備に携わった技術者がいたことと、村長のリーダーシップが市民普請の実現に大きく寄与した」(武田氏)などの意見があった。
徳永氏は「市民普請の実現には仕組みと仕掛けの構築が重要」との認識を示し、それらは時代の変化に合わせて工夫しなければならないと加えた。
また、真田氏は「(市民普請には)スタートアップも大切」とし、市民普請への協力・連携体制が創出される情報発信の必要性を強調した。
残り50%掲載日: 2020年11月25日 | presented by 建設通信新聞