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  • カナリヤ通信・第53号/東京都建築士事務所協会らの団体別採用力スパイラルアップ事業

    【中小の働き方改革、女性活躍を支援/ウェブサイトで建築の魅力発信】

     

     東京都建築士事務所協会(児玉耕二会長)と人材サービス企業のアデコが組成するコンソーシアムは、東京しごと財団から「団体別採用力スパイラルアップ事業」を受託し、人材確保・定着に向けた中小建築設計事務所の働き方改革、女性活躍推進を支援している。事業の一環として4月に設置したウェブサイト「リ・アーキネット(https://re-archinet.com)」では、建築設計の魅力を幅広く発信するため、女性の活躍や多様な働き方などのコンテンツを拡充した。団体別採用力スパイラルアップ事業ワーキング(WG)の主査を務める同協会の寺田宏副会長は、「老若男女を問わず、やりがいをもって業務に携わっていけるように建築士と建築士事務所を応援していく」と未来につながる環境づくりを後押しする。 団体別採用力スパイラルアップ事業は、中小企業の事業継続・活性化に向け、働き方改革と女性の活躍推進を図ることで、人材の採用から育成・定着を促進することを目的にしている。事業期間は2019・20年度。

     

     協会は17・18年度にアデコ、ピーシーアシストとコンソーシアムを組織し、東京しごと財団から、東京都で建築士事務所業を営む中小企業を対象とした「団体課題別人材力支援事業」を受託し、「採用支援」「育成・定着支援」「雇用環境整備」の3つを軸としたサービスを提供した。事業の一環として実施した女性建築士や企業退職者などの休眠資格者を掘り起こし、企業の再雇用に結びつけるマッチングでは、41人の再就職を支援した。

     

     「スパイラルアップ事業」では、広く建築設計界に就職者、再就職者を呼び込むための企業側の制度や業務の改善をメインとしている。支援メニューは設計事務所を対象に実施した実態調査で抽出した、▽個別企業の働き方に関するコンサルティング▽働き方改革・女性の活躍推進に関するセミナーの実施▽個別企業の生産性向上に向けた研修の実施▽ポータルサイトでの情報発信--など。寺田副会長は「人材を受け入れる側の企業のレベルアップに主眼を置いている」と説明する。

     

     個別企業のコンサルティングでは25社を対象に、働き方に関する社内規則や勤務評価などについて社会保険労務士などを派遣して人材の確保・定着に向けた環境づくりを支援する。

     

     働き方改革・女性の活躍推進に関しては4回連続のセミナーを企画。これまでに労働法改正、多様な働き方、コロナ時代における長時間労働の課題をテーマにしたセミナーを開催している。27日と12月15日には女性の活躍推進をテーマにしたウェブセミナーを開き、女性のライフステージに即した勤務制度のあり方や女性が活躍できるオフィス環境づくりなどをについて専門家が講演する。

     

     リ・アーキネットは、団体課題別人材力支援事業で開設したサイト運営のノウハウを生かしてオープンした。同事業を通じて、建築設計の世界が広く認知されておらず、建築士に関する情報も正確に伝わっていないことがわかったことから、「求職者に正しく情報を伝え、間接的に業界の魅力を伝えることで求人を支援できるように内容を充実させた」(寺田副会長)という。

     

     4月の開設以来、女性の活躍推進や多様な働き方などコンテンツの充実を図ってきた。多様な働き方では、「小規模事務所の良さを生かしたフレキシブルな働き方」「全国規模の大手事務所が実現した働き方改革」「良好な関係づくりからはじまる、自然なワークライフバランス」の3事例を紹介している。

     

     女性の活躍推進では、「女性からみた建築士事務所運営」をテーマに協会が独自で2月に開いた懇談会の一部を掲載している。女性の建築士事務所経営者や事務所に勤務する女性に、協会のスパイラルアップ事業WG、働き方改革推進WGの委員、オブザーバーの社労士、人事マネジメント専門家を加えた25人が、女性の活躍推進に向けたワークセッションを実施した。スパイラルアップ事業で行ったアンケートで抽出した働き方や事務所経営、社会のあり方、建築士の職能についての課題と対処方法も紹介している。

     

     働き方改革推進WGの副主査を務める協会の横村隆子会長補佐は、「ワークセッションでわかったが、女性の建築士事務所運営者はすでに障壁を工夫して乗り越えてきた。むしろその工夫を広めていくことが大事だと思っている。大変だけど面白いという部分を発信していきたい」と、好事例の水平展開に意欲をみせる。

     

     また、ウィズコロナによって在宅勤務が市民権を得つつある中で、「女性もさまざまな働き方ができると考えている。多様な働き方を探っていきたい」と、コロナ禍を契機とした女性活躍のあり方なども検討していく考えだ。

     

     寺田副会長は、「大手の組織では制度が充実しているが、東京都建築士事務所協会の会員の8割以上を占める中小規模の設計事務所では制度的にぜい弱な部分もある。そこを解消していかなければ若い人がついてこない」と指摘し、中小事務所の持続的発展をさまざまな角度から引き続き支援する。

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    掲載日: 2020年11月26日 | presented by 建設通信新聞

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