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特集・群馬建協が取り組むICT土工研修/生産性向上は地域から
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【ICT土工普及へのモデルに】
就業者の高齢化と担い手不足が進む建設業において、生産性向上は喫緊の課題となっている。ICTやAI(人工知能)を使った新技術の開発が建設産業でも活発化しているものの、こうした開発を進められる費用負担力のある大手企業の就業者は建設産業全体のごくわずかであり、生産性向上を就業者が肌で感じるようになるためには、地域の建設会社による生産性向上が不可欠となる。群馬県建設業協会(青柳剛会長)が2017年度に開催した『ICT土工研修』は、「いかに地域の建設会社で働く技術者がICT技術を身に付けるか」を実践する取り組みとして各方面から注目を集めた。身近な建設会社が最先端技術を駆使する姿は、若手技術者のモチベーション確保にもつながり、引いては建設産業全体の魅力向上にも発展していく。全国の地域建設業によるICT普及のモデルとして、ICT土工研修の狙いや意義、研修の全体像、参加者の声を紹介する。【群馬県建設業協会/青柳 剛会長】
【最前線の現場技術者が最先端技術身に付ける/目に見える形でやる気につなげる】
産業間での人材獲得競争が激しさを増す中、建設業ではいま、週休2日制を軸にした「働き方改革」が一気に進もうとしている。こうした働き方改革を支えるのは、「建設現場のすべてにわたっての生産性の向上」であり、その中軸を担うのが「道具としてのICTを上手に使った生産性の向上」になる。
ICT技術を使うと言っても、地域密着型の建設会社で働く技術者は会社の稼ぎ頭であり、技術習得のために遠くの研修所に長い期間派遣され現場を離れることはできない。各方面でICT技術の見学会や講習会が開催されているものの、デモンストレーションや座学形式では現場で生かせる技術としての習得は難しい。
そこでICT土工研修では、「OJT(職場内訓練)とOff-JT(職場外訓練)の中間」を目指すこととした。県内の施設を使って、1週間に1-2日程度、数週間にわたって開催することで、技術者が専任の現場で実際の業務に当たりながら、スキルアップできる環境を整えた。建設業法上の「技術者の常駐監理の解釈」を国土交通省や群馬県が明確にしたことで、専任の現場技術者が研修のために一時的に現場を離れられるようになったことも大きな成果の1つと考えている。
研修内容は、現場見学会や講習会から一歩踏み込み、より具体的なICT活用施工の「学び方を学ぶ」ことを大きな目的とした。概論から始まり、実際の納品までの全工程を学べるようにしただけでなく、特に“実践”を意識して、実際にUAV(無人航空機)を使った起工測量や3次元設計データの作成、マシンガイダンス対応建機の施工実習などを盛り込んだ。こうした形態の研修は、建設業協会主催としては全国初の試みとなった。
研修において大きな課題に挙げられるのは、研修の成果を「少しでも幅広く企業間で水平展開できるか」であり、生産性が「目に見える形で上がった」「ものづくりにやりがいを感じる」といった『やる気』につなげていくことも大事な点だろう。そこで、1月30日に研修参加者を集めた「フォローアップ研修会」を開催した。研修参加者が習得した技術を社内でどのように水平展開したかを意見交換することで、次の取り組みへの意欲にもつながる。研修会で終わるのではなく、社内に技術を広げ、他社とも刺激し合うことで「道具としてのIT化」から抜け出し、「やる気」が、広く地域に、そして全国に広がっていくことが大切だろう。
残り50%掲載日: 2018年2月27日 | presented by 建設通信新聞