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建設論評・建設版SaaS
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>デジタル社会ではモノをつくるだけでなく、ITを活用したサービスを売る時代だ。
中国の若者向け賃貸住宅サービス会社「ズールー」は、北京、上海、深●(土へんに川)など9つの都市でサービスを展開し、ユーザー数は累計で120万人、管理物件は50万件、6000億人民元(約10.4兆円)を管理している。
この会社の特徴は、単に住宅を賃貸するだけではない。賃料に8%上乗せすれば、あたかもサービスアパートメントのように、定期的な清掃や家具の修理を受けられる。さらに、契約者は同じ管理をしている空き部屋を1泊1000円以下で宿泊できたり、イベントに参加できたりする。同社は単に住まいを提供するだけでなく、コミュニティー形成を通じて顧客との接点を広げることで、賃貸契約という一度限りの関係ではなく、長く顧客との関係が続く幅広いサービスを提供し、成功している。
電気自動車メーカーの米テスラの特徴は、自動車を売って終わりの関係ではなく、一定の料金を支払えば、パソコンのように車両に搭載されているソフトウェアのアップデートを通じて常に顧客に最新の自動運転技術などを提供し続ける「モノを通じたサービスの提供」にある。さらには顧客から得られたデータをベースに車両ソフトの改良を行い、他社に真似できない領域へと先端技術を開発するイノベーションを生み出している。
中国版テスラとも呼ばれるEV(電気自動車)新興企業「NIO」でも、BaaS(バッテリーレンタルサービス)として、いつでもどこでもバッテリーの充電・交換・アップグレードが可能なサブスクリプションモデルを構築し大いに注目を集めている。まだまだ普及していない充電サービスを逆手に、家でも飛行場でも、どこでもリクエストに応じて満タンの充電器と取り替えたり充電したりするサブスクリプション型サービスを提供する。
中国IT企業のアリババが始めた生鮮スーパー「盒馬鮮生(フーマーフレッシュ)」では、大きな水槽の中の生きた魚を買うことができる。それも、QRコード付きの魚が水槽を泳いでいて、どこの産地かひと目でわかるような仕組みだ。すべての食材がいつスーパーに届いたか、その食材の評価、食材を使った調理例など、すべての情報がネットでつながっている。リアルな店舗で消費者はスマートフォンを見て食材を確認できる。
まさにオンラインとオフラインを結ぶことで、さらにオンラインが強化されるOMO(オンラインとオフラインの融合)が実現している。
建設業も竣工・引き渡しで終わりというのではなく、BIM、IoT(モノのインターネット)の活用、省エネルギーなどのサービスで顧客との接点を継続的に確保し、情報を共有することで次のプロジェクトの付加価値を改善する関係の構築が必要不可欠だ。
建設版SaaS(サービス型ソフトウェア)とは、竣工後も建設サービス・関連サービスを提供し続けることを指す。ぜひとも「建設版SaaS」が進むことで、建設を核にしながらも発注者、利用者が求める多様なサービスを提供する産業へと成長したいものだ。(隆)
残り50%掲載日: 2020年12月14日 | presented by 建設通信新聞