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  • 東洋建設/洋上風力サクションバケット基礎/コスト抑え環境配慮/2021年度実海域で実証実験

     東洋建設は、洋上風力発電施設の建設に向けたサクションバケット基礎の施工技術研究を進めている。一般的な杭打設と比べて、騒音・振動の大幅な低減や環境への影響の削減などが期待でき、加えて建設費の20%低減を目指す。現在は兵庫県西宮市の同社鳴尾研究所で実験を重ねており、今後は2021年度に実際の海域で実証実験し、22年度内に実験結果をとりまとめる。

     

     サクションバケット基礎は、バケットに接続されたパイプから内部の海水を排水することで、バケット内外の水圧差を利用して地中に貫入する。撤去時はバケット内部に海水を注入すれば、簡単に抜き上げることができる。

     

     一般的なモノパイルなどの杭打設基礎形式はハンマーにより打設するため、騒音や振動が発生する一方、サクションバケットは静粛・低振動で、環境への負荷も少ない。

     

     ヨーロッパや中国では実績があったが、国内ではサクションバケットに適した地盤が少ないことや海底の地盤情報が少ないなどの理由から、研究が進んでいなかった。

     

     同社は17年度のNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)による「風力発電等技術研究開発(洋上風力発電等技術研究開発)」の「洋上風力発電低コスト施工技術開発(施工技術実証)」で助成を受け、研究を始めた。

     

     現在は同研究所で海底を再現した大型土槽で直径1.5m、高さ1mのバケットの模型を貫入する大型土槽実験によって、水圧や土圧、傾斜履歴などのデータを収集している。波を発生させる2次元水路では、砂地盤に波を当て、基礎の周りに発生する洗掘状況を確認する水理模型実験にも取り組んでいる。

     

     今後も実験を重ね、硬質砂地盤への貫入や鉛直精度の確保、確実な撤去方法、風車大型化に向けたマルチバケット、洗掘特性などの課題を検証し、最適な施工方法を見極める。

     

     同社の大林東壽取締役常務執行役員土木事業本部長兼安全環境部管掌は「洋上風力発電の主力電力化には、いかに発電コストを低減するかが課題となっている。技術開発に加え、国内外での海上工事の経験などを活用し、洋上風力発電事業に参画することで、新エネルギー分野の発展に貢献する」と意気込みを示した。

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    掲載日: 2020年12月21日 | presented by 建設通信新聞

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