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  • カナリヤ通信・第54号/積水ハウスグループの「イクメン休業制度」

    【全社挙げて育休取得の環境づくり展開/イクメン大賞受賞、取得率100%継続】

     

     積水ハウスグループは、グローバルビジョンとして「『わが家』を世界一幸せな場所にする」を掲げている。ビジョンの実現には「まずは従業員とその家族に幸せになってもらいたい」という仲井嘉浩社長の強いリーダーシップのもと、全社一丸となってさまざまなダイバーシティーの活動を進めている。その1つが「イクメン休業」の取り組みだ。厚生労働省の「イクメン企業アワード2020」でグランプリを受賞した同社のイクメン休業の取り組みを追った。

     

     同社の男性育休取得の取り組みのきっかけとなったのは、2018年5月に仲井社長が北欧のスウェーデンを視察した時に、多くの男性が公園でベビーカーを押している姿を見て着想を得たことに始まる。以来、トップダウンで改革を進めてきた。

     

     イクメン休業制度の運用を開始したのは同年9月1日から(グループ会社は19年8月1日から)。取得対象者は3歳未満の子を持つ積水ハウスグループ社員。「育児休業1カ月以上の完全取得」「最初の1カ月を有給(性別不問)」「最大で4回の分割取得が可能」の3点が主な特徴で、取得のしにくさや経済的不安を軽減している。

     

     取得の手続きに当たっては「いつ取得したいのか」「なぜ取得したいのか」ということを夫婦で会話してもらうコミュニケーションツール『家族ミーティングシート』を作成。これを基に取得の時期や父親・母親の役割などを話し合ってもらう。続いて「イクメン休業」(特別育児休業)取得計画書に取得方法(一括・分割)、取得予定日、休業中の引継内容などを記載し上長と面談する。その後、上長の承認を得て、取得計画書を提出する流れだ。家族ミーティングシートは同社ホームページに公開しており、同社従業員以外でも利用できる。

     

     20年11月末現在の取得状況(積水ハウスのみ)をみると、19年2月の本格運用開始以降、取得期限を迎えた男性社員は778人で、全員が1カ月以上の育児休業を取得しており、取得率100%を継続している。

     

     既取得者の経験談を集約した『イクメンガイドブック』の制作、社内のウェブサイトで育休中の写真を投稿・公開した「積水ハウスのパパたち写真展」など、全社を挙げて育休を取得しやすい環境づくりを進めている。

     

     活動から得られた気付きや学びを社会に還元するため、日本全国9400人へのウェブアンケートから日本の男性の家事・育児の実態を調査した『イクメン白書』の発行(同社ホームページに公開)や、産官学で日本の男性の育児参画について考える「イクメンフォーラム」の開催などにより、社会全体の男性育休取得への機運醸成にも貢献している。

     

     積水ハウスESG経営推進本部ダイバーシティ推進部の森本泰弘課長は「生活を提案している住宅メーカーとして、子育て世帯に対してどのように提案していくかといったことにもかかわってくる」と話す。「(男性の育児休業取得が)営業のトークであっても、(住宅の)設計力であってもいろいろなところに直結している」としながら「われわれが幸せを膨らませるほど、お客さまにも幸せを提供しやすくなっていく」とグローバルビジョンの循環につながっていくと指摘する。

     

     また、「職場でのコミュニケーションが増えれば、業務の効率化や生産性の向上、イノベーションにつながっていく。コミュニケーションが活性化しなければ、新たなチャンスやアイデアも生まれない」とし「コミュニケーションを活性化させるための取り組みをどんどん行っていく。その1つがイクメン休業だ」と強調する。

     

     「男性の育児休業取得が促進すれば、女性活躍推進や社会課題(産後うつなど)の解決につながるなど、社会が良い方向に向かっていくと思っている」と今後も取り組みを推し進めていく考えだ。

     

     実際にイクメン休業を取得した槻並省吾さん(積水ハウス広報部)は、「自分がこれまでいかに、家事育児をやっているつもりになっているかを感じた。家庭内のすべてを体験することで、妻が1人で抱えていた量を理解することができた」と振り返る。イクメン休業制度を通じて、職場の風土は変わってきたと思うかという質問に対しては「変わってきた」としながら「育児と両立しながら働いている女性もいる。そういった女性の同僚に対する男性の理解が深まったと思う。男性の理解が深まれば、女性の働きやすさにつながる」と話した。

     

     さらに、「仕事が最優先ということから、家族、子ども、自分が幸せになるために働いていることを見つめ直す機会になった」と語ったほか、今後制度を利用する社員に対しては「せっかくの機会なので、すべての家事を経験すべき。そうすることで1日がどれだけ目まぐるしく終わっていくということが、本当の意味で理解できる」とアドバイスした。

     

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    掲載日: 2020年12月24日 | presented by 建設通信新聞

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