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作業効率を給与に反映/かぎは経営者の意識改革 休日取得へ創意工夫が多様化/全建 4週8休実現へ好事例紹介
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>地域の建設業で、4週8休の実現に向けたさまざまな創意工夫の導入が進んでいる。新陽建設(兵庫県姫路市)では、業務処理能力と残業時間を比べて作業能率の高い社員には給与で反映する仕組みを導入している。大竹組(徳島県牟岐町)や長浜建設(山形県酒田市)など複数の企業では、収入面に影響するため休みづらい日給月給制の直用技能者を完全月給制へと移行するといった取り組みもみられる。各社とも4週8休を実現する上でかぎを握るのは「経営者の意識改革」という点で共通している。
新陽建設は、社員の長時間労働と休日取得に対する意識変革を促すため、仕事量と時間外労働時間数などを比較し、効率良く働いている社員は賞与時にプラス査定している。
大竹組は、土日休みを含む福利厚生を制度面で後押しするため、日給月給制の社員を完全月給制に変更するとともに、建設業退職金共済から中小企業退職金共済に移行した。長浜建設も建設技能者を月給制としたほか、就業規則の指定休日を117日に見直して4週8休体制を構築している。
加賀建設(金沢市)では2017年度から年間休日を120日に設定。安達建設(富山県南砺市)は18年度から土日完全週休2日制を導入した。
香山組(兵庫県尼崎市)は、日給制が多い協力業者に着目し、経費を始め4週8休を踏まえた見積もりを依頼している。
渋谷建設(山形市)やヤマグチ(鹿児島県霧島市)、加賀建設、安達建設などは積極的にICTなどの新技術を取り入れ、生産性の向上を進めている。
ただ、こうした取り組みの裏にはさまざまな苦労がみられる。新陽建設は「前社長(現社長の父親)と当時の役員は、いわゆる戦中派や団塊の世代と呼ばれ、土曜日に休むどころか代休・振休・有休など論外という考え方の持ち主だった。旧経営陣の考え方が新しい労務施策実現の最大の阻害要因だった」と明かす。このため、OA機器以外での書類作成の禁止、ISO導入による品質管理で労働時間を削減しながら新規顧客の獲得を達成し、「普通に休んでも仕事ができることを証明していった」と振り返る。
渋谷建設も「現場は自然環境に大きく影響され、臨機応変な対応が常時求められるため休みがとりにくい雰囲気があった」中で、意識改革には「トップの意向と決意が重要」との認識を示す。
4週8休を推進した結果として「1番の効果は、新卒採用や若年の中途採用者が増えた」(大竹組)などメリットのほか、「導入を実現している企業として積極的にアピールし、さらに改善を重ねて、導入の効果がしっかりと表れていくようにしていきたい」(小野寺建設、山形県鶴岡市)、「実現不可能かどうかは、計画して実施してみないと問題点・改善策などに気付くことができないので、まずは取り組んでみることが重要」(熊建、鹿児島県西之表市)などの声が聞かれる。
全国建設業協会(奥村太加典会長)では、4週8休を実現した47都道府県建設業協会の会員企業を「4週8休実現企業」として、新陽建設など10社を紹介している。好事例を団体全体で共有し、地域建設業の就労環境改善を後押しする狙いで、今後も4週8休実現企業を随時紹介する方針だ。
残り50%掲載日: 2020年12月25日 | presented by 建設通信新聞