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  • 大規模事業は着実進展/関東甲信地方重大ニュース

     コロナ禍に見舞われた2020年。東京五輪の開催が1年見送られ、東京都では新規の入札公告が一時停止するなど建設業界にも影響を及ぼした。ただ、そのような状況下でも将来を見据えた社会資本整備やまちづくりは着実に進展しており、南摩ダム本体建設工事の施工者が決まったほか、JR東日本による品川開発プロジェクト(第I期)の街区ごとの施工予定者も決定した。主なニュースで、この1年を振り返る。

     

    ◆コロナ拡大で広範囲に影響

     

     新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、関東地方のプロジェクトがさまざまな影響を受けた。東京都では新規の入札公告を一時停止したり、東京五輪の延期に伴い築地市場跡地開発の検討スケジュールに遅れが出た。都以外の自治体でも、事業の中止・延期や予算配分の見直しなどが相次ぎ、ホールの建設構想から、夏休み期間の学校改修工事に至るまで、規模の大小にかかわらず多くの事業や工事が影響を受けた。再開発事業では、当初のホテル計画を中止して開発規模を縮小したケースもある。都心部などでは、テレワークの普及に伴う“オフィス離れ”も懸念されている。

     

     

    ◆南摩ダム本体建設/大成建設と本契約

     

     水資源機構は、南摩ダム(栃木県鹿沼市上南摩町地内)の本体建設工事施工者を大成建設に決定し、今月7日に本契約を交わした。思川開発事業の中核的な役割を担う工事となる。1969年の実施計画調査着手から半世紀の時を経て、2021年から掘削工事などを本格化する。24年度の全体完成を目指す。

     

     近代的工法(薄層転圧工法)を用いた本格的なダムとしては国内初のコンクリート表面遮水壁型ロックフィルダム(CFRD)を採用する。堤体積の減少によりコスト縮減、工期短縮、環境負荷を低減させる。現時点で同機構最後の新規ダムとなる可能性がある。

     

     

    ◆品川開発第I期各施工者決まる

     

     JR東日本は、東京都港区で計画している総延べ約85万㎡の「品川開発プロジェクト(第I期)」の街区ごとの施工予定者を決めた。初弾となる3街区は大林組で2021年4月に着工する。1街区はフジタ、4街区は大林組がそれぞれ6月に着工し、10月に鹿島が2街区を着工する。街区すべて、24年度末の完成を目指す。

     

     事業は、3月に開業したJR高輪ゲートウェイ駅前に、文化・ビジネスの育成・交流・発信機能や居住・滞在機能、合計で約2万㎡の歩行者広場やデッキレベルの歩行者ネットワーク、交通広場を整備する。

     

     

    ◆常盤橋再開発の名称はTOKYO TORCH

     

     三菱地所などが東京都千代田区・中央区で建設を進めている「東京駅前常盤橋プロジェクト」(大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発事業)の名称が「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」に決まった。高さ日本一となる約390mのB棟は「Torch Tower(トーチタワー)」で、規模は地下4階地上63階建て延べ約54万4000㎡。最上階には展望可能な観光施設、その下には国際的な高級ホテルを配置する計画だ。低層部には規模ホールなどを整備する。トーチタワーは2023年度の着工、27年度の竣工を目指している。

     

     

    ◆横浜市のIR誘致実施方針案まとまる

     

     横浜市は、山下ふ頭へのカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致に向け、実施方針(案)をまとめた。横浜IRにはカジノ施設以外に、最高級ブランドを含む3000室以上のホテルや最大延べ12万㎡の展示施設を備えたMICE(国際的な会議・展示会など)施設、日本の伝統文化やアニメ、ゲームなど多様な魅力が感じられる施設などを整備する。敷地面積は約43ha。市は35年間の事業用定期借地権を設定し、設置運営事業者に土地使用権限を付与する予定だ。事業者は公募型プロポーザル方式で選ぶ。横浜IRを巡っては、撤退する海外事業者も出てきている。

     

     

    ◆KK線が道路から遊歩道として再生

     

     東京都の新京橋から銀座、有楽町などを経由して新橋方面に至る約2㎞の自動車専用道路、東京高速道路(KK線)の将来像が明らかになった。2030-40年代を目標に、これまで担ってきた道路としての役割を終え、歩行者向けの施設に生まれ変わる。

     

     都内有数の繁華街を多く経由しており、周辺のまちとのつながりを生かした回遊性の高い空間に再生する考えだ。

     

     自動車用の施設であるため、高架に地上から歩行者が入る動線は現状では乏しく、整備面での課題だ。隣接地の開発などを巻き込んだ民間活力を生かした再生を検討中で、都が具体的な方針をまとめる。

     

     

    ◆千葉NT内でデータセンター建設相次ぐ

     

     千葉ニュータウン(NT)は一時期、物流施設建設が盛んだったが、強固な地盤や恵まれた電力環境が評価され、ここ数年はさまざまなプレーヤーによるデータセンター建設が相次ぐ。さらに20年は、延べ10万㎡弱のグーグルのデータセンター、大和ハウス工業による最大15棟総延べ約33万㎡のデータセンター団地の初弾施設の工事が始まった。東京電力パワーグリッドも電力需要増加に対応するため、新京葉変電所から千葉NT内に新設する千葉印西変電所まで電力ケーブルを敷設するための約10.1㎞のシールドトンネルの工事に着手した。

     

     

    ◆京急泉岳寺~新馬場立体交差が事業認可

     

     東京都は、国土交通省から京浜急行本線の泉岳寺駅~新馬場間の立体交差事業の認可を取得した。事業費1247億円を投じて鉄道を立体交差化し、踏切3カ所を解消する。

     

     対象区間の約1.7㎞のうち、品川駅~新馬場駅の1㎞は高架区間、大規模改修を実施中の泉岳寺駅~品川駅の0.3㎞は地下区間として整備。品川駅を含む付近0.4㎞は地平化する。工事に伴い、京急本線の品川駅ホームは地上に移設されることになる。

     

     2029年度の事業完了を目指す。京急は、10月に連続立体交差事業の施工者選定手続きを開始しており、現在、施工者は未定となっている。

     

     

    ◆宇都宮駅西口LRTルート構造は高架案

     

     宇都宮市は、JR宇都宮駅西口のLRT(次世代型路面電車)ルート構造について、駅西口駅前広場の停留場を地上部に設ける「地上案」と、2階レベルに設ける「高架案」を比較した結果、「高架案」に決めた。

     

     概算事業費は高架案の約100億円に比べ、地上案は約80億円と少ないものの、駅西口の周辺の交通円滑化のため、周辺交差点の道路拡幅・改良などの対応が見込まれる。

     

     高架案は交通信号に従う地上案に比べ、速達性や定時性を確保できるほか、LRTから鉄道改札口の乗り継ぎで上下移動が必要ない、バスなどと立体交差するため円滑・安全な点などが評価された。

     

     

    ◆新宿駅の周辺で大型開発が続々

     

     東京都は「新宿直近地区土地区画整理事業」の事業計画を公表した。駅ビルや鉄道、駅前広場など約10haを再編して、線路上空の東西デッキや東西南出口の駐車場を段階的に整備する。総工事費は717億5000万円を見込み、2047年末の完成を目指す。

     

     駅周辺の大型施設開発も動き出す。小田急電鉄と東京地下鉄による(仮称)新宿駅西口地区開発事業は、22年度の着工、29年度の竣工を目指して日本設計が設計している。明治安田生命保険の(仮称)西新宿一丁目地区プロジェクトは日建設計が設計。21年春から25年夏の工期を見込み、大成建設が解体作業中だ。

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    掲載日: 2020年12月28日 | presented by 建設通信新聞

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