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  • 2021年業界を読む・建築設計

    【“見えない仕事ぶり”どう評価/適切管理、適正評価が課題】

     

     世界中で猛威を振るい、いまだ収束の気配が見えない新型コロナウイルス感染症の拡大は、建築設計事務所の働き方を大きく変えつつある。各事務所のトップは「コロナ前には戻らない」と口をそろえ、ウィズコロナ時代の多様な働き方に向けた環境整備に乗り出すが、テレワークの進展に伴う新たな課題も浮上している。テレワークの急拡大が業務の管理と実態把握を困難にする中、“見えない仕事ぶり”を適切に評価する仕組みをいかに構築するかに各事務所は頭を悩ませている。

     

     2020年4月の政府による緊急事態宣言の発令で、半ば強制的にテレワークにかじを切った大手事務所では宣言解除後も、在宅勤務などの推奨によって出社率を抑制するスタイルが主流になっている。

     

     コロナ以前からハード面を中心に多様な働き方の実現に向けた環境整備を先進的に進めてきた事務所では、さらなるテレワーク推進に意欲をみせるトップも少なくない。

     

     ITの積極活用で多様なワークスタイルに対応した環境に、先行して取り組んできた大手設計事務所のトップは、「ここ5、6年間で進めてきた改革の成果が出てきている」と手応えを口にする。自身も出社するのは週に2日程度だが、職員のスケジュールなどはパソコン上で常に確認できるため、「仕事にほとんど支障はない」という。

     

     宣言解除後も基本的にテレワークを推奨している別の大手事務所トップは、「在宅勤務は効率が悪くなるとの懸念もあったが、特に効率が低下しないことが確認できた」とし、恒常的にオフィスワークと在宅勤務の使い分けができる環境整備を推進する。

     

     一方、ITを活用した業務改善を進めつつも、先進的な事務所に遅れをとる中で、半ば緊急避難的にテレワークに突入した事務所のトップからは、「ハードでカバーできる部分もあるが、打ち合わせ資料の作成などで逆に作業量が増えて効率が落ちた」「効率が上がった者もいればそうでない者もいる。管理職はマネジメントが難しく、限界がある」「コミュニケーションの面で課題がある」などの声が上がる。

     

     ある大手事務所のトップは、コロナ以前からハードを中心にテレワークなどの環境整備を進めてきたが、「やむなしの試行錯誤で、急ごしらえで移行せざるを得なかった」と宣言発令後の状況を振り返る。テレワークの実践によって「できる社員とできない社員が顕著に分かってしまった。課題として残るのは評価のあり方だ」とし、多様化する働き方に対応した評価制度の構築を急ぐ。

     

     「効率化が図られたという声もあるが、通勤に当てていた時間を仕事に使っている可能性もある」。建築関係団体の幹部がこう指摘するように、急速に拡大するテレワークは、オン・オフの境目をあいまいにし、長時間労働を常態化させるという危険性もはらむ。いかに適切に業務を管理し、適正に評価するのか。「ウィズコロナ2年目」は急激に変化する働き方に対応した労務管理の確立に向けた動きが活発化しそうだ。(岡部敦己)

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    掲載日: 2021年1月8日 | presented by 建設通信新聞

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