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  • 2021年業界を読む・設備

    【生産システムの変革が加速/生き残りへ試練の1年】

     

     2021年は、設備工事企業として持続的に成長し、社会に貢献するとともに社会から必要とされる企業として生き残ることができるかが試される1年になりそうだ。「経営基盤の強靱化に向け着実にステップを踏む」「新しい働き方を実現」「将来の姿を描き、スタートの年にする」「新たな成長の機会とする」など、トップの言葉からは、将来を左右する1年になるとの認識が読み取れる。

     

     事業環境は、首都圏を中心とした再開発案件の端境期に加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け「受注競争が激化」するとの見方は一致している。リニューアル案件、データセンター、半導体など投資意欲が旺盛な産業分野、5G(第5世代移動通信システム)関連などを受注ターゲットに挙げる企業は多い。

     

     空調設備企業は新型コロナによって換気など空調の重要性が脚光を浴びたことから、医療やオフィス関係などからあった多くの相談・問い合わせを、実需(受注)に結び付けていくことになりそうだ。受注に向けて各社トップは「採算性と(市場の)将来性を重視する」方針を掲げる。

     

     残業時間削減と休日確保を始めとした働き方改革、それを実現する生産性向上と業務の効率化は待ったなしだ。24年4月の罰則付時間外労働上限規制適用が迫る中、後工程の設備工事は工程遅れのしわ寄せを受けやすく、工期末に「突貫工事」を余儀なくされることなどを背景に、現場で働く技術者の残業時間削減が思うように進んでいない。このため、各社トップは危機感を募らせている。

     

     24年4月をにらみ、特に長時間労働の削減が求められている。各社はバックオフィスの活用などにより、現場の支援を講じているものの、手詰まり感が出始めている。

     

     こうした現状を打開するため、大手設備企業はゼネコンと同様に、働き方改革と新たな働き方の具現化に向け、現場の省力化や効率化を包含した生産性向上、技能労働者不足、BIMのさらなる活用といったデジタル化などの課題をまとめて解決するビジネスモデル(生産システム)の変革に着手し始めている。これは、施工力確保を含む現場力とデジタル技術、培ってきた技術力・研究開発力、そしてロジスティクスをも掛け合わせたプラットフォームの構築といえる。

     

     コロナ禍を契機に、生産システムの変革が加速する。各社トップは「施工管理から生産管理に変える」「(実証中の)現場作業を減らす生産拠点の稼働が上がってきた。ほかにも広げる」「現場生産形態から、工場で生産したパーツを現場で最適工程で組み立てる形態へ移行」「部材の標準化やユニット化を進め、現場施工をオフサイト化」などの方針を示す。監理企業やゼネコンとともに「共通のデジタルプラットフォームで工程管理、資機材、作業員管理を統合して情報を共有する方向」と語るトップもいる。

     

     生き残りをかけプラットフォーム側の企業になるか、それともプラットフォーム側から使われる企業になってしまうか、各社の変革への取り組みが活発化する。 (松下敏生)

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    掲載日: 2021年1月13日 | presented by 建設通信新聞

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