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  • 建設論評・コロナ禍・脱炭素・インフラ

     新しい年は明けたが、コロナ禍はまだまだ続き、非常事態宣言が再発出された。しかし、天然痘根絶に成功した人類はペストやスペイン風邪の惨禍を繰り返さず、ワクチンの普及と情報技術のDX(デジタルトランスフォーメーション)により新しい社会へと発展していくだろう。そこで重要なのは、コロナ禍の社会を支える物流・エネルギーや上下水・廃棄物処理という社会の動脈・静脈を担当し、さらに同時に起こる災害を防ぐインフラの役割である。

     

     コロナ禍はいずれ終息するが、今後長期に影響してくるのが地球温暖化である。温暖化がもたらす極端気象による災害とともに自然環境、生態系の超長期変動にも注目しなければならない。近年の学説では、動物の頂点にいた恐竜の絶滅は小惑星の衝突による生態系の変化が食物連鎖崩壊の原因とされている。人類が地球温暖化を軽視すると恐竜の二の舞になると認識すべきであろう。

     

     地球温暖化に対し、2017年に結ばれたパリ協定では気温上昇を1.5度に抑えるため、50年ごろまでにCO2を主とする温室効果ガス排出量を実質ゼロにする脱炭素を目指している。

     

     当初は脱炭素に消極的だった日本も、遅ればせながら米国よりも先に50年の脱炭素を宣言した。これにより化石燃料にこだわっているとして第25回気候変動枠組条約締約国会議(COP25)で与えられた「化石賞」の不名誉を返上できるだろう。

     

     政府は脱炭素へ向けて14分野で実行計画を立てたが、その実現には大きな努力が必要である。経済界は従来、既に十分努力をしてきた上、炭素税も負担しているとしてこれ以上の努力には消極的だったが、ここへきて方針を転換して脱炭素に積極的に取り組むことになったのは高く評価できる。

     

     日本がここまで成長できたのは、ハードの技術革新とソフトの変革により困難を乗り越えたからである。1960年代の公害を克服したのは市民の声を生かした法的規制、経済界の努力であった。自動車排気ガス規制のマスキー法を初めてクリアした日本車が世界一の座を獲得したことにも経済界は自信を持つべきであろう。

     

     CO2排出の中心である電力、交通、産業にインフラは大きな役割を担っているが、脱炭素には飛躍的な技術革新が必要である。最近の調査によると、大企業の9割が脱炭素を可能としてそこに商機を見いだしているが、これは日本の発展に明るい見通しを与えている。

     

     政府は国土強靱化のために、巨大地震とともに温暖化がもたらす極端気象を重視し、流域治水などハード・ソフトのインフラによる防災・減災を図り、森林のバイオマス活用を計画している。長期的な国土強靱化には大渇水、さらには超長期の生態系の変動も考慮すべきであろう。

     

     今秋のグラスゴーのCOP26で、日本には脱炭素の具体的提案に加え国土強靱化計画の発表が期待されているのである。(宙)

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    掲載日: 2021年1月14日 | presented by 建設通信新聞

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