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  • 中部支社・新春企画(1)

    【リニアインパクトを圏域全体に波及】

     

     新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、社会生活や経済活動が大きく変化している。コロナ禍で中部地方でもテレワークを中心とした働き方改革や、遠隔臨場を始めとする建設現場のデジタル化が加速している。頻発する自然災害に備えつつ、持続可能な圏域を形成するためには、ものづくりから“ことづくり”へのシフトチェンジが不可欠と説く堀田治中部地方整備局長に同局の今後の取り組みについて聞いた。また、2026年の第20回アジア競技大会や、リニア中央新幹線開業などを目標に進む名古屋市のまちづくりと、今後竣工する建築物の完成予想を紹介する。

     

    【中部地方整備局 堀田治局長に聞く/国土強靱化の取り組み加速/ハード整備の誇り堅持、「ことづくり」にも注力】

     

    --昨年を振り返って

     

     2020年は、新型コロナウイルス感染症という公衆衛生上の非常事態のほか、令和2年7月豪雨により甚大な自然災害が発生するなど、これまでにない困難の年だった。一昨年、国内では水害だけで2兆1500億円という史上最高の被害額となった。こうした傾向は今後も続くことが予想されている。そうした中、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策が閣議決定された。自然災害への備え、インフラ老朽化対策、デジタル化の推進を3本柱に、15兆円規模の予算が確保される見通しだ。これまでも防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策(期限20年度末)として河川、道路、港湾などの重点施策を推進してきた。激甚化する水害を防止、軽減するためのハード・ソフト対策を示す流域治水プロジェクトの策定作業も進んでいる。こうした取り組みを継続し、目に見える成果を上げたい。

     

    --中部版コロナスペシャルについて

     

     新型コロナウイルス感染症拡大を防ぐ目的で、20年5月に「当面の工事及び業務における事務の執行について」(中部版コロナスペシャル)を公表し、リモートワークを前提に押印の省略、書類の簡素化、遠隔臨場などに取り組んだ。その成果もあり、19年度上期は7割だった発注率を20年度上期は8割に引き上げることができた。この取り組みは20年11月に改定した総合評価落札方式ガイドラインにも反映した。具体的には完全週休2日を達成した企業を高く評価することにした。また施工能力評価型に企業の能力のみを評価する「企業能力評価型」を新設し、手続き期間の短縮を図る。地域の守り手となる建設業を評価するため、維持工事の実績を加点評価する仕組みも取り入れた。引き続き感染症対策を徹底しながら、公共事業を進め、経済活動を下支えしていく。

     

    --リニア開業に向けて

     

     名古屋市が中心となって名古屋駅周辺のまちづくりが進められている。名古屋駅のスーパーターミナル化に向けてわれわれも協力していく。岐阜県駅、長野県駅(ともに仮称)のアクセス道路整備も支援する。リニアインパクトをいかに圏域全体に波及させるかが今後の課題になる。コロナ禍でサプライチェーンの見直しも進んでいる。企業誘致や移住促進など、東京一極集中を解消するための施策をリニア開業までに仕込みたい。

     

    --働き方改革について

     

     コロナ禍で働き方改革とデジタル化が大きく前進した。テレワークの導入、男性の育児休暇取得、女性の活躍の場を広げる取り組みは喫緊の課題となっている。女性技術者で構成する、けんせつ小町・チーム“愛”からは「女性を特別視しない意識改革に努めてほしい」との提言を受け取った。持続的な発展には誰もが働きやすい労働環境の整備が不可欠だ。建設業界から変革を進める。

     

    --インフラ分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みは

     

     20年度中に本局内にDXルーム、中部技術事務所内に人材育成センターを整備する。DXルーム、人材育成センターと、i-Constructionモデル事務所の新丸山ダム工事事務所をつなぎ、DX関連の取り組みを推進する。直轄工事では、23年度までに原則BIM/CIMを全面導入する。21年度から人材育成センターを使って自治体向けの研修などを実施する予定だ。BIM/CIMで構築した3次元モデルは維持管理にも活用する。直轄工事の約9割を受注する一般土木Cランクの受注者が3Dデータに対応できる環境を整えていく。

     

    --これからの社会資本整備の考えは

     

     インフラはつくって終わりではない。高規格道路網の整備に合わせて企業立地を促すなど、地域活性化に寄与する相乗効果をいかに発揮させるかが重要だ。中部地方整備局では「つなぐプロジェクト」と銘打ち、若手課長を中心に各部局の仕事内容を知り、連携を深める取り組みを始めている。これまで中部地方はものづくり拠点と言われてきたが、これからは「ものづくり」から「ことづくり」にシフトしていく必要がある。地元経済界との意見交換会などで取り上げられるイノベーション拠点の形成、広域連携の強化を実現するためにも地域の声や民間のニーズをよく聞き取り、縦割りを見直して横の連携を強化していく。デジタル化の進展は、生産性の向上だけでなく、インフラが提供できるサービスの拡大を意味する。ハード整備に対する誇りを堅持しつつ、「ことづくり」につながるソフト施策にも力を入れていく。

     

    【冊子で全線開通効果を紹介/名古屋環状2号線】

     

     中部地方整備局、NEXCO中日本などで構成する「名古屋環状2号線(名古屋西~飛島)開通効果検討会議」は、2020年度内に全線開通する名古屋環状2号線(名2環)の整備効果をパンフレットにまとめた。

     

     名2環は全長66.2㎞。高速道路の名古屋第2環状自動車道と伊勢湾岸自動車道、一般道路の国道302号で構成する。このうち唯一の未開通区間、名古屋西JCT~飛島JCT(仮称)長さ12.2㎞が20年度中に開通する。

     

     冊子には1971年の事業化から50年間の歩みのほか、交通渋滞の緩和や物流の効率化など、名古屋都市圏をつなぐ環状道路の完成が地域にもたらす、さまざなまストック効果を編集した。全線開通によって、沿線・非沿線エリアを合わせて年間約227億円の経済効果が期待できるとの試算などを示している。

     

    【けんせつ小町・チーム“愛”/堀田局長に意見集提出】

     

     中部地方整備局愛知国道事務所の事業に関わる女性技術者で構成する「けんせつ小町・チーム“愛”」は、『すべての人が長く働ける建設業を目指して』をテーマに、計3回開いた意見交換会での提案を意見集にまとめた。

     

     ▽良好なコミュニケーション▽超過勤務の縮減、休日の確保▽技術力向上--などの項目ごとに、メンバーが感じた現状、チーム内で出た意見、課題を解決するための提案を編集。「女性を特別視しない意識改革に努めてほしい」「技術力向上のための機会を積極的に提供してほしい」といった声を盛り込んだ。

     

     2020年10月6日、名古屋市内で意見集を受け取った堀田治局長は「皆さんの意見は建設業全体の課題だ。提案は今後の政策に反映していく。しっかりサポートするので活動を続けてほしい」と述べた。

     

    【整備局/BIM/CIMを23年度全面導入/中技事務所に人材育成C】

     

     中部地方整備局は、2023年度から直轄工事にBIM/CIMを全面導入する。その一環として、同局中部技術事務所内に「人材育成センター」、本局内に「DX(デジタルトランスフォーメーション)ルーム」を20年度中に整備する。

     

     中部技術事務所に整備する人材育成センターは、2階の研修エリアと1階の体験エリアで構成する。本局に設置するDXルームは3Dデータを保管するほか、BIM/CIM活用の事例などを収集する。

     

     DXルーム(交流フィールド)、人材育成センター(バーチャルフィールド)、新丸山ダム工事事務所(リアルフィールド)の3カ所をつなぎ、DX関連の取り組みを進める。

     

     21年度から人材育成センターで研修を始め、受発注者双方にBIM/CIMの具体的な活用法を周知する。23年度からは直轄事業の改築工事にBIM/CIM活用を原則適用するほか、3Dデータを活用した維持管理業務の運用をスタートする方針だ。

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    掲載日: 2021年1月15日 | presented by 建設通信新聞

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