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技術提案評価型(S型) 生産性向上を項目に追加/国交省が総合評価運用改善
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【21年度以降に一部工事で試行】
国土交通省は、総合評価落札方式の運用改善に向けて、新たな試行を始める。技術提案評価型(S型)で、これまでの工事の品質確保に関する項目に加え、ICT活用など生産性向上に関する提案を求める。評価に差が付きにくいというS型の課題を解消するため、重要性が高まっている生産性向上を新たな評価軸として加える。2021年度以降に一部工事で試行する。試行結果を基に結果を分析し、総合評価ガイドラインへの反映などを検討する。
18日に開いた「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」の建設生産・管理システム部会と業務・マネジメント部会の合同会議で、運用改善の試行案を示した。
技術提案評価型(S型)は、目的物の変更や協議を伴わない技術提案を求める方式。年間の発注金額に占める割合は36%と施工能力評価型(II型)に次いで2番目に大きいが、件数ベースでみると7%(500件)程度と限られることから競争参加者が集中しやすい傾向にある。18年度のS型(WTO対象)工事には、平均で14.3者が参加した。
他方、S型の技術評定点の得点率について落札者と非落札者の点差を比べてみると、あまり差が付いていないことがわかる。例えば18年度では、落札者の平均得点率は94.3%、非落札者の平均得点率は90.8%とその差は3.5ポイントにとどまる。評定値2位の平均得点率は92.5%とさらにその差は小さくなっている。
目的物の変更を伴う技術提案を求める技術提案評価型(A型)や不確定要素が多い場合に採用する技術提案・交渉方式に比べて、品質確保などの要素技術の提案が中心となり、評価に差が付けにくいことが主な要因だ。
そこで国交省はS型の工事について、新たにICT活用など生産性向上に関する提案を求める試行に乗り出す。i-Constructionの推進や新型コロナウイルス感染症対策を契機とした非接触・リモート化の働き方への転換など生産性向上がさらに重視されている現状を踏まえ、独立した項目として提案を求める。
◆施工能力評価型でもICT活用評価試行
技術的工夫の余地が小さい小規模工事に適用する施工能力評価型でも運用改善策を講じる。施工能力評価型(I型)の施工計画でICT活用などによる生産性向上に関する記載を求める試行を始める。件数ベースで7割、金額ベースで4割といずれも最多を占める施工能力評価型(I型)で実施することによって、直轄工事全体の生産性向上の波及効果を狙う。
対象は不確定要素が少なく生産性向上が見込める工事で、21年度以降に試行する。S型のように独立した提案を求めるのではなく、施工計画の中に生産性向上に関連する取り組みを盛り込むことを求める。
また、各地方整備局独自で、地域企業や若手・女性の活躍機会の確保といった視点に基づいて取り組んでいる、多様な評価方法について整理・検証も進めることも報告した。工事の品質を保ちながら、担い手の確保策として有効だと判断できる評価方法は全国的に活用を拡大する。
残り50%掲載日: 2021年1月19日 | presented by 建設通信新聞