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  • 建設論評・DX時代の幕が開く

     報道各社の世論調査による内閣支持率が40%を割る中、通常国会での菅総理の施政方針演説に注目が集まった。菅総理のデジタル化や脱炭素化の2枚看板にブレがみられるのではないかというのが、その背景にはあった。国際的に「グリーン・リカバリー」が主力となっている状況だけに、少しでも変化が見受けられれば、強力な支持層にも動揺が走ることになる。菅総理の施政方針にブレはなかった。コロナ対策の重要性に触れた後、経済運営で「成長志向の政策を目指す」と述べ、その対象が「グリーンとデジタル」の分野であることを言明したのである。つまりは、デジタルを知らずして「都市」を語るなかれ、脱炭素にあらざれば「建築」にあらずの勢いに微塵の揺れもないことになる。

     

     昨年暮れの仕事納めの前日と、年明けの仕事始めから数日も過ぎない8日、経済産業省が2つのDX(デジタルトランスフォーメーション)関連の資料を配布した。1つは、『DXレポート2 中間とりまとめ』で、(1)DX加速シナリオ(2)DXの加速に向けた企業のアクションと政策--が盛り込まれている。2018年9月に公表され、ITシステムの「2025年の崖」という言葉が注目を集めた「DXレポート」の続編だ。

     

     もう1つは、『デジタル市場に関するディスカッションペーパー~産業構造の転換による社会的問題の解決と経済成長に向けて』で、「市場」という超現実の代物と「デジタル」というサイバー(仮想)の代物をドッキングさせた論考である。市場の決済手段である「通貨」に「仮想通貨」があるのだから、デジタル+市場に肝を冷やしていたら肝がいくつあっても足りないことになる。このディスカッションペーパーが真摯(しんし)で、デジタルの素人にも説得力のあるものになっている。

     

     例えば、第1章の『新たな産業構造とデジタル化』の中では、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させた「Society5・0」の産業構造は(産業という)タテから、徐々にヨコへの構造変化が進んできた。デジタル化によってさらに構造変化が加速され、タテ(各産業)とヨコ(機能)が密に連携するメッシュ構造になっていくのではないかと考察している。さらに、デジタル化によって加速されるのは、「人の活動」を「機能」と「情報」に分離(デカップリング)させる点と、目的のために最適なものを組み合わせる(リバンドリング)ようになる点だとしている。

     

     DXとは「あらゆるものをデジタル化・IT化して、変革、イノベーションを起こしていく概念」(エリック・ストルターマン、スウェーデンのウメオ大学教授、04年)とされているのだが、そのDX市場の産業構造を加速度的に変化させるのは、データの流通だという。データの流通によってあらゆるものがつながることで、国境を越えてデータ駆動型ビジネスが実現されるが、そのためには安全・安心なデータ流通の実現が必要だと、ディスカッションペーパーは触れている。何事も安心・安全が基本になる。(能)

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    掲載日: 2021年1月25日 | presented by 建設通信新聞

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