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  • 手形サイト 60日以内に/政府が中小事業者の取引適正化へ支払条件改善

    【約束手形利用廃止 今夏に自主行動計画/「法令遵守ガイドライン」も改定】

     

     政府は、中小企業・小規模事業者の取引適正化に向け、支払い条件のさらなる改善に取り組む。3年後の2024年をめどに、手形支払サイトを60日以内に改善するとともに、親事業者による割引料の負担を進める。3月末までに公正取引委員会と経済産業省中小企業庁の下請代金支払手段通知(手形通知)を改正し、実行する。改正通知に基づき、国土交通省の「建設業法令遵守ガイドライン」も改定する見通し。また、将来、約束手形の利用を廃止するため、今夏をめどに産業界と金融業界による「約束手形の利用の廃止等に向けた自主行動計画」を策定する。

     

     現行の手形通知は、16年12月に1966年の通知を初めて改正。下請代金の支払いは、▽できる限り現金で支払い▽手形などで下請代金を支払う場合、現金化にかかる割引料のコストは、下請事業者の負担とすることがないよう、下請代金額を親事業者と下請事業者で十分協議して決定▽下請代金支払いの手形サイトは、繊維業90日以内、そのほかの業種は120日以内とすることは当然として、段階的に短縮し、将来的には60日以内とするよう努める--などと明記している。

     

     また、建設業法では、下請代金のうち「労務費相当部分は現金で支払うよう適切に配慮」と定めている。これを受け国交省のガイドラインでも、下請代金支払いはできる限り現金、少なくとも労務費相当分を現金払いと明示し、手形通知の内容にも留意と記載している。

     

     国交省の下請取引等実態調査によると、現行の手形通知が出る前に調べた16年度の結果は、手形サイト「60日以内」は2.7%に過ぎず、「61日以上120日以内」が88.0%、建設業法違反となる恐れがある「121日以上」が9.4%だった。これが19年度の調査結果では「60日以内」が4.5%に増えたものの、「61日以上120日以内」が89.7%と大部分を占め、「121日以上」もいまだ5.9%ある。

     

     手形通知後、建設産業界を含む産業界は、サイトの短縮に努めてきたものの、政府はサイトが90日、120日に張り付いていることや約束手形の割引料が下請代金に加味されていないなどの課題があるとして、一層の支払条件の改善に乗り出すことにした。

     

     コロナ禍の中、資金繰りに影響する経済状況を勘案するものの、24年をめどに、手形サイト60日以内の改善や親事業者の割引料負担を手形通知の改正によって徹底する方針。

     

     この取り組みの進捗を踏まえながら、割引率やファクタリング手数料の低減、約束手形利用の廃止も進める。

     

     産業界と金融業界の「約束手形の利用の廃止等に向けた自主行動計画」策定に加え、産業界は自主行動計画を改定することになる。改定計画には、手形サイトを含む納品から現金化までの期間全体の短縮化、約束手形から現金払いや電子記録債権の利用への移行などを盛り込む。建設産業界では、日本建設業連合会が同計画を改定することになる見込み。

     

     金融業界は新たに自主行動計画を策定し、振り出し側に有利な料金体系など取引慣行の見直し、電子的手段の利便性向上、手形の利用廃止に伴う資金負担への対応に取り組む。

     

     この支払い条件の改善は、菅義偉首相が18日、国会での施政方針演説の中で「手形払いの慣行の見直し」と言及。26日の「中小企業等の活力向上に関するワーキンググループ」で報告があった。

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    掲載日: 2021年1月27日 | presented by 建設通信新聞

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