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  • 新ヒヤリハット報告/人的要因への対策重視/レジリエンス向上に着目/建災防

     建設業労働災害防止協会(今井雅則会長)は、新たな安全衛生活動を誘導する「新ヒヤリハット報告」を開発した。従来の物的・管理的な安全衛生活動(SafetyI)に加え、労働災害発生の背後にある人的要因の部分に対策を講じてヒヤリハット自体を減少させる「深化したSafetyI」と、レジリエンス能力(危険などを予測、注意、対処、学習する能力)を高めて安全な状態を維持する「SafetyII」を組み合わせることで、労災防止対策を抜本的に改善する。

     

     建設業の2019年死亡災害は269人で、ピーク時の1961年から約10分の1まで減少しているものの、減少傾向は近年鈍化しており、「墜落・転落災害」「建設機械・クレーン災害」「倒壊・崩壊災害」が死亡災害の8割を占める状況は50年以上変わっていない。この3大災害に対する再発防止対策は改善が繰り返されてきたが、基本的な部分はほとんど修正されず、物的・管理的な施策が中心となっている。

     

     工事現場はさまざまな作業が輻輳(ふくそう)し、作業環境も刻々と変化していくため、現場従事者には労災を防止する上でレジリエンス能力を身に着けることが求められるものの、習得方法は確立されていない。また、労災には人的要因(作業負荷、心身の状態、コミュニケーションなど)が大きく関わっているが、その対応は弱い。現在の安全衛生教育も健康な状態を前提とし、現場従事者の心身の変化を考慮していない部分もある。

     

     新ヒヤリハット報告では従来の安全衛生活動に、人的要因への対策でヒヤリハットを減らす「深化したSafetyI」と、レジリエンス能力の向上でヒヤリハットを労災につなげない「SafetyII」を加え、メンタルヘルス対策や働きがいを表すワークエンゲージメントの向上に寄与する取り組みを促す。

     

     同報告は実体験とそれに関する作業内容、発生原因、労災レベル、労災防止対策のほか、労災の背後要因(仕事の量的負担、心身の状態)、職場の支援、ワークエンゲージメント、レジリエンス能力などで構成。その回答内容を集計した上で、現場での具体的活動につなげる。

     

     ある建設企業で同報告を試行した結果、深化したSafetyIでは仕事の要求度の高さがヒヤリハットの要因と分析し、手戻りの減少などによる要求度の低減をアドバイスした。

     

     SafetyIIは警報やブザー、周囲からの声掛けなどが有効とし、安全標識の設置、朝礼・夕礼、日々のKY活動、災害事例の周知、コミュニケーションなどを解決策として提示する。

     

     建災防では、4月をめどに「『新ヒヤリハット報告』活用マニュアル」を発刊後、同報告の運用を開始する予定だ。

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    掲載日: 2021年2月10日 | presented by 建設通信新聞

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