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  • 建設論評・デジタル田園都市

     2月9日の閣議でDX(デジタルトランスフォーメーション)関連法案の内容が固まり、今国会への提出が正式に決定した。「脱炭素化」とあわせ菅内閣の2枚看板の1つである「デジタル化」が本格的に動き出すことになる。

     

     デジタルと脱炭素は表裏一体の部分があって、エネルギーの利用量やCO2排出の制御など、あらゆる場面でデジタル部品による管理が進んでいるのはご存知のとおりだ。また、今回のデジタル関連法案では、社会全体でのデジタル化をより一層進展させるため、これまでのIT基本法(高度情報通信ネットワーク社会形成基本法)を廃止し、新たにデジタル基本法(デジタル社会形成基本法案)を設け、一段とデジタル社会への取り組みを深める。

     

     そのデジタル社会を支える行政の中心がデジタル庁で、内閣にデジタル庁を設置するための法案も閣議決定されている。デジタル庁は、▽デジタル社会の形成に関する重点計画▽個人を識別する番号に関する総合的・基本的な政策の企画立案▽マイナンバー・マイナンバーカード・法人番号の利用に関すること並びに情報提供ネットワークシステムの設置および管理▽国・地方公共団体・準公共部門の民間事業者の情報システムの整備・管理に関する基本的な方針の作成および推進--などの事務を行う。

     

     デジタル庁の長や主任の大臣は内閣総理大臣とし、デジタル庁の事務を統括するデジタル大臣を置いて関係行政機関の長に対する勧告権などを規定。デジタル大臣に進言を行うデジタル監を置くなどのほか、全国務大臣を議員とするデジタル社会推進会議も設置する。総理大臣直轄の組織だけに相当な力を持つことになるが、今回のDX関連法案のたたき台には昨年6月に自民党デジタル社会推進特別委員会(その後、政調・デジタル社会推進本部)がまとめた「デジタル・ニッポン2020~コロナ時代のデジタル田園都市国家構想~」があるとされている。「田園都市」という国土計画論が見えてくるのか、興味は尽きない。

     

     「田園都市論」は、英国のエベネザー・ハワードが1898年に著した『明日の田園都市』に由来し、大平正芳元総理が「田園都市づくり構想」として取り組もうとし、志半ばで倒れるといった経緯がある。「デジタル・ニッポン」では、「2030年を見据えた大きな概念」として「デジタル田園都市国家」を取り上げている。具体的には、パンデミックの再来の可能性が高い(3密の対策)ことと、日本固有の超高齢化・人口減少で生み出された地方の疲弊の活性化のために「デジタル田園都市国家」を打ち出したのだ。ある種の政権構想だが、デジタル庁の長が総理大臣となっていることを考えると、菅総理が「田園都市構想」として「団地再生」や「二地域居住」を打ち出さないとも限らない。新たなグリーン・リカバリーを動かさなければ、ポスト・オリンピックはもたない。 (能)

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    掲載日: 2021年2月16日 | presented by 建設通信新聞

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