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  • 事業一巡で普建費減少/一部にコロナの影響も/東京23区の21年度予算案

     東京23区の2021年度予算案が15日に出そろった。一般会計の総額は前年度比0.4%増の4兆0712億9800万円となった。このうち普通建設事業費の総額は8.5%減の4958億円で、減少傾向が鮮明となった。減少は大型事業の一巡などが主な要因とみられるが、新型コロナウイルスの感染拡大対策に予算を重点配分する区が多く、建設事業を中止・延期する動きも一部にある。ただ、庁舎や交通インフラなど重要事業は、継続して予算計上する区が多い。

     

    【庁舎や交通インフラなどは継続】

     

    4642一般会計と普通建設事業費 (単位・100万円、%)

     

     23区中一般会計が増加したのは11区だが、普通建設事業費が増加したのは7区にとどまった。普通建設事業費の大幅な減少も目立つ。渋谷区では50%を超える減少、目黒区も45%、中央区は40%など、複数の区が2桁台での減少を示した。

     

     大きな下げ幅は、大型施設の整備が一巡したことなどが主な要因とみられる。長谷部健渋谷区長は、「大型施設の整備が20年度までに一段落ついた。(コロナの影響による)事業停止はない。ただ、22年度以降の減少が見込まれ、民間活力やDX(デジタルトランスフォーメーション)の活用などを検討する。減収が予想される中でもアクセルを踏むところ、しっかり進めるところを認識していかなければいけない」と話している。

     

     一方で、コロナ対策に向けた予算配分による影響も一部にある。荒川区は、自ら大規模地権者としても参画する西日暮里駅前の再開発事業で、大型ホールの建設を見送ることを決めた。足立区も庁舎の大規模改修工事を一部延期することにした。ともに、今後の中長期的なコロナ対策に備え、大幅な支出を抑制する狙いがある。

     

     練馬区は、コロナ対策や生活保護費といった義務的経費の増大を受け、公共施設の整備などを緊急的に見直し、約56億円の歳出を削減する。向山小学校や田柄中学校、美術館再整備構想などの設計を延期する方針だ。板橋区も、上板橋第一中学校の改築、板橋第二小学校の長寿命化改修を先送りすることにした。

     

     建設投資などに比べてコロナ対策そのものの予算額は大きくないが、依然として収束の見通しが立たないことから、中長期的な投資意欲に影響を与える。22年度以降の予算にも影響が出てくる可能性もある。

     

     予算配分の見直しが進む一方で、庁舎建設や交通インフラ関連などの重要事業については、継続して予算計上する動きが目立つ。

     

     世田谷区は新庁舎の建設工事費などを計上している。既に施工者選定を進めている段階で、近く落札者を決定する予定だ。江戸川区は新庁舎の基本設計着手に向けた予算などを確保した。設計者に先行してCM業務の委託先を決める。

     

     地下鉄・鉄道の関連では、江東区が地下鉄8号線(豊洲~住吉間)の早期実現を目指し、建設基金の積み立てを継続する。中央区も都心部と臨海部を結ぶ新線整備に向けた予算を継続して計上している。大田区は、新空港線(蒲蒲線)の整備に向けて、整備主体となる第3セクターの設立を目指す。新金貨物線の旅客化を計画する葛飾区では、国道6号の南側に位置する高砂駅~新小岩駅間の先行事業化などを検討する予定だ。

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    掲載日: 2021年2月16日 | presented by 建設通信新聞

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