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長寿命化は“日々の手入れ”が重要/人生100年社会のデザインと社会インフラを考える/藤野陽三氏がオンライン配信で講演
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>人生100年社会デザイン財団(代表理事=神野直彦東大名誉教授・日本社会事業大学学長、牧野篤東大大学院教授)は16日、東京都港区の八芳園で「人生100年社会のデザインと社会インフラ」をテーマとするフォーラムのオンライン配信に向けた収録を実施した=写真。東大と横浜国立大の名誉教授を務める藤野陽三城西大学長が「社会的インフラストラクチャーの100年ライフのデザイン」と題して講演。インフラと人間の長寿命化を重ね合わせながら、「いずれも日々の手入れが重要」と訴えた。
藤野学長は1600年の大江戸建設などを例示しながら、「土木事業は何かの目的を達成するために社会システムをつくる。その中に橋やダムなどの構造物がある」とし、歴史作家である塩野七生さんの言葉を引用しながら「質の高いインフラは民族の資質を高めることにもつながる」と説明した。
また、社会インフラは完成後に「有事に対応するリスクマネジメントと、維持管理によるストックマネジメントが発生する。どちらもバランス良く進めなければならないが、メンテナンスが後回しになりがち」との認識を示した。一方「構造物の劣化で怖いのは中が見えないこと」を始め、メンテナンスは不確定要素が多いにもかかわらず、「安全性は非常に高い水準が求められる」と解説した。
2012年12月の笹子トンネル天井板崩落事故を契機として、インフラメンテナンスに対する機運が高まる中、自身が手掛けた維持管理・更新・マネジメントに関するSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)を紹介した。
「土木分野以外との連携が不可欠だった」ため、研究活動を通じて「社会ニーズを注視しながら研究領域を広げ、(研究全体を)コーディネートする必要性を実感した」ことに触れた上で、その経験は土木分野の先人たちが残した教訓と重なり「土木というのはそもそもマネジメント。土木工学は工学の中心にいなければならない」との思いを明かした。
さらに「さまざまな分野を横串しに刺さなければ、イノベーションは生まれない」とし、横断的連携の実現とそれを統率する人材育成の重要性を強調した。最後に「人とのつながりでいまの自分がある。インフラも同じ。効率的な維持管理で持続的な『つながり』を保つことが大切」と締めくくった。
今回のフォーラムでは牧野教授の講演と、牧野教授、藤野学長、六郷恵哲岐阜大名誉教授による対談(収録済み)も含まれ、今後オンライン配信を始める。
同財団は新たな人間像、組織像の観点から人生100年社会の「グランドデザイン」、「ライフサポートプラットフォーム」の形成を目的とする。「学び」を基本に研究を進め、政策提言を含めた事業創生と社会実装を目指す。20年10月に発足した。
残り50%掲載日: 2021年2月17日 | presented by 建設通信新聞