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  • 大成建設/CO2収支を「マイナス」/環境配慮コンクリが進化

     大成建設は、製造過程でのCO2収支をマイナスにすることができるカーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete/Carbon-Recycle」を開発した。製造過程で発生するCO2から製造する炭酸カルシウムを用いる点が特長。蓄積してきた技術・ノウハウを駆使して、独自の環境配慮コンクリート「T-eConcrete」を進化させた。

     

     CO2とカルシウム成分を反応させて製造する炭酸カルシウムを活用。炭酸カルシウムを産業副産物である高炉スラグ主体の結合材(砂利や砂などの骨材を接着する粉体材料)に固化させることで、コンクリートの内部にCO2を固定するカーボンリサイクル・コンクリートとなる。

     

     普通セメントの代わりに産業副産物である高炉スラグやフライアッシュなどを混合した独自の環境配慮コンクリート「T-eConcrete」で培ってきたCO2排出量を削減するコンクリート技術やノウハウを駆使・発展させて「セメント・ゼロ+炭酸カルシウム活用」によるカーボンリサイクル対応に踏み出す。

     

     実際に環境配慮コンクリート「T-eConcrete」に代表される“セメント・ゼロ”のコンクリートの開発など、製造過程でのCO2排出量の削減に取り組んできた同社だが、いわゆるカーボンリサイクルの実現に向けて、乗り越えるべき複数のハードルがあったという。

     

     例えばCO2の直接利用として、製造過程で回収したCO2を直接的にコンクリートに吸収させると、コンクリートが中和されて内部の鉄筋が防さび機能を失ってしまう。CO2の吸収を助けるために内部に微細な空隙を増やす構造にした場合、コンクリートの強度が低下してしまうといった課題があったからだ。

     

     そうした課題を解消するための手段として炭酸カルシウムを活用。炭酸カルシウムを介して材料の内部にCO2を固定するだけでなく、従前と同様にセメントの代わりに高炉スラグを用いることで、製造過程におけるCO2収支「マイナス」を実現した。

     

     CO2を直接的にコンクリートに吸収させない(強アルカリ性を保持)ことから、内部の鉄筋の腐食を防ぐことが可能。通常の設備で製造できるだけでなく、普通コンクリートと同等の強度・施工性(流動性)を持つことから、これまで蓄積してきた設計・施工、施工管理の技術・ノウハウがそのまま活用できるというメリットもある。

     

    ■研究会と連携、多様な商品・技術開発を推進

     

     CO2排出量の削減に対する一層の貢献を目的に土木・建築資材メーカー8社が参画して活動している「T-eConcrete研究会」(基幹企業・大成建設)と連携して、顧客ニーズに応える土木構造物用の部材や建築物の内外装建材など多様な商品・技術の開発に取り組む。

     

     回収したCO2から製造されるカーボンリサイクル材料としての炭酸カルシウムはまだ流通していない(現在はCO2とカルシウム成分を反応させて製造したものを使用)ことから、今後の市販の状況を踏まえながら「T-eConcrete/Carbon-Recycle」を現場打ちコンクリートやコンクリート2次製品(建設資材)に取り入れていく。

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    掲載日: 2021年2月17日 | presented by 建設通信新聞

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