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ジョブ型雇用 建設産業でも広がる兆し4割が検討中・導入済み/本社調べ
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>新型コロナウイルス感染症拡大でテレワークが広がり、新しい働き方に合わせた雇用制度として「ジョブ型雇用」の採用を模索する企業が出始めている中、建設産業界でも同様の動きが広がる兆しがでている。日刊建設通信新聞社が大手・準大手ゼネコン、建築設計事務所、建設コンサルタント、道路舗装会社、設備会社、メーカーの計130社を対象に実施した「人材採用調査」によると、4割に上る48社がジョブ型雇用(独自制度含む)について「検討中」「導入済み」「導入決定」「一部部門・役職で導入(検討中含む)」と回答した。
調査は、1月上旬から2月初旬にかけて130社にアンケートを送付。「ジョブ型雇用」の質問では、建築設計18社、コンサル16社、ゼネコン31社、道路舗装9社、設備29社、メーカー17社の計120社が回答した。
既に「導入済み」と回答したのは、日立建設設計、NJS、ミライト・テクノロジーズ、キャタピラージャパンで、「一部部門・役職で導入済み」としたアジア航測も含めると5社となった。新日本空調は「導入決定」として10月から導入する。「検討中」としたのは計37社で、業種別では建築設計が6社、コンサルが12社、ゼネコンが8社、道路舗装が1社、設備が7社、メーカーが3社となった。前田建設、ジョンソンコントロールズ、高砂熱学工業、コマツ、三菱マテリアルの5社は、「一部部門・役職で導入(検討中含む)」と回答した。
業種ごとに占める割合でみると、コンサルの87.5%に上る14社が検討中・導入済みとなり、前向きな企業が突出して多かった。ゼネコンでは29.0%に当たる9社が導入を検討しているほか、建築設計は38.9%に当たる7社、設備は37.9%に当たる11社が検討中・導入決定・導入済みとした。
2019年の人事制度改革で導入したNJSでは、役割定義書と職種等級別に評価制度を整理し、「完全なジョブ型ではなく従来のメンバーシップ型の体制を残しつつ、期待される役割と業務内容を定義した」という。同社のように日本型制度を模索する動きも広がっており、応用地質は「欧米型のジョブ型導入は難しい」とした上で、「詳細は今後検討する予定」と回答した。
導入を検討する企業からは、「職務内容・業務の洗い出し・切り分けが難しい」「ジョブディスクリプション(職務記述書)の作成負荷が大きい」といった課題が挙がったほか、「既存制度との整合性や折り合いが難しい」「コミュニケーション不足から共有業務の役割が不明確・おろそかになる」といった不安の声も上がる。一部導入済みのアジア航測も「ジョブの明確化、組織管理上の人事考課との関係」を課題とする。
コベルコ建機は「制度対象者のジョブがなくなった際に自由に解雇できる法制度がないことが課題」とジョブ型雇用に見合った雇用・就労環境が整っていないことから、「導入予定がない」という姿勢を鮮明にした。宇部興産も「運用の困難さ、担当業務が限定的になることの弊害」を課題に挙げ、導入する予定はない。
建設産業界ではジョブ型雇用はまだ検討段階で導入が広がるとは言えない状況だが、仮に広がれば、新しい雇用形態にあわせた建設関連法令・制度の総点検が求められることになりそうだ。
◆ジョブ型雇用 日本型模索の動きも
「ジョブ型雇用」は、あらかじめ雇用主と合意したジョブディスクリプション(職務記述書)に記載した仕事内容や求められる成果に基づいて雇用契約を結び人材を評価する制度。人材の流動性が高く、プロジェクトや職務内容ごとに専門の即戦力人材が企業を渡り歩く就労スタイルが一般的な欧米で採用されている。コロナ禍によるテレワークの普及で出社回数が減り、人材の評価方法が国内企業の課題となる中で注目を浴びている。経団連も導入を推進している制度だが、「日本型の就労スタイルに合わない」といった意見も見られ、近年は日本型のジョブ型雇用を模索する動きもある。
残り50%掲載日: 2021年2月18日 | presented by 建設通信新聞